今から4年前。大学1年生の頃、社会学という学問との出会いをきっかけに、社会学の知識だけではなく、学びの楽しさ、意義など多くのことを学んだ。

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私が初めて社会学と出会ったのは1年次のセミナーである。
ミステリアスかつ威厳を放った雰囲気の女性の教授で、初回から緊張していた。その上、私が在籍していた大学では1年次のセミナーは大学指定で選べないため、ついていけるのかという不安もあった。
1年次の夏までは内容も難しく、ついていくことで精一杯だった。しかしジェンダー問題、差別、人種問題などについてクラスで議論したり、分析したり、掘り下げて考えることがだんだんと楽しくなっていった。

それは先生の授業スタイルのおかげでもあった。
セミナーの先生は、一方的に受講者に向かって講義するというスタイルを全くしない。授業の冒頭に、基本となる考え方や、分析の仕方、キーワードの説明があって、あとはグループワーク。4~5人くらいのグループで特定の社会問題をテーマにした物語を分析していく。
私はこの一方的な受け身の授業ではなく、多くのクラスメイトと話し合える授業形式がとても好きだった。自分にはない知見をもらえるし、自分の考えを話すことで自身の潜在的な考えに気づけることも多かったから。先生の授業を楽しいと思う気持ちが社会学への興味をどんどん膨らませた。

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社会学をこの先も学び続けたいという思いが確信に変わったのは、1年次の学期末。セミナーの期末課題として、今まで授業内で取り上げられた考え方やキーワードを使って文献探しから論文執筆まで1人でやるというもの。

私は性役割に関連するトピックが取り上げられている小説本を選び、それを分析していった。登場人物の言葉に隠されている意図や無意識な差別意識を分析していくのは辛く心苦しくもあったが、考えることが楽しいと思う自分もいた。今まで授業で教わった考えや知識がしっかり自分の血肉となっていることを実感できたから。
学期末課題の報告面談の際、先生から「授業でやったことがちゃんと言葉になってますね」と言っていただけたことも大きかった。ついには社会学の勉強をこの先も続けていこうという強い気持ちにつながった。

3年次になり必修科目が減ると、社会学系の講義を多く履修し、知識を増やすことに力を入れた。ジェンダー、移民、教育など様々な切り口から社会問題について考察した。知識を深めるために授業外でも書籍を買って読んだり、大学図書館で論文を読んだりした。勉強するたびに知識が深まり物事を多角的に見られるようになった。

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高校生の時までは勉強は義務感からやっていた。大学受験のため、今後の人生に生きる学歴をつけるため……。だから与えられた宿題しかやらず、日々何かに興味を持って熱中するということもなかった。
でも大学での社会学の勉強を通して、社会学の知識だけでなく、学び方や学びの楽しさまで教えてもらった。好きな分野の科目のレポート課題やコメントシートは特に力を入れて作成してきた。だから何も知識がない状態で書こうとしても何も書けないという状態になったこともあった。その度に情報収拾についての本を読んだり、先生から助言をいただいたりして考えの発展のさせ方も学んできた。
また、以前は苦手だった新書も楽しんで読めるようになった。大学時代、社会や政治について勉強したおかげだと思っている。

私は今でも、社会学という学問を通して学びの楽しさを教えてくださった教授に大変感謝している。教授に教えていただいた学びの楽しさを、私もまた多くの人に伝えることで還元していきたいと強く思う。