高校を卒業してすぐに出たふるさとに、私は今年、7年ぶりにUターンをした。
高校生まで、私にとってふるさとはずっとコンプレックスだった。
雑誌で見るような憧れの都会と自分の地元を比べて、地元にないものばかりを探して嘆いていた。大学生になったらすぐに都会に出て、もう絶対に地元には住まないんだと思っていた。
高校を卒業後、念願の都会に進学した。都会での大学生活は楽しくて初めての一人暮らしは本当に刺激的で、毎日とても楽しかった。その一方、帰省するたびに駅前の商店街がどんどんと活気がなくなるのを見て、地元に対するコンプレックスはますます大きくなっていった。
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ある時、大学で震災のボランティア活動で遠い地域に行くことになり、そこで自分たちの地元を思う人たちの多さに驚いた。震災で損なわれてしまった風景を取り戻そうとする人々は自分たちの地元を愛し、誇りをもっていた。
そこから地方創生に興味を持ち、大学在学中に地域活性が活発な地域をいくつか訪れた。そこで出会う人たちはどの人たちも自分の地域に誇りを持っていて、地域を活性化するための面白い取り組みを行っていた。
いくつか地方創生の取り組みを見る中で、自分のふるさとはどうだろうと思い始めた。
私のふるさとは何にもないし、他の地域に比べてもなんにも頑張っていない。そう思っていたけれど、本当にそうだろうか?私が見えていないだけで、本当はいいところがたくさんあるし頑張っている人もいるのかもしれない。
そう思いつつ、やはりふるさとに戻る選択肢はなく、そのまま都会で就職をした。
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社会人3年目のころ転職しようと思い立ち、転職先が決まるまで一旦実家があるふるさとで過ごしていた。その時にふるさとに対する気持ちが変わったような気がする。
学生時代までは何もないと思っていた地元が、自転車や車を使えば色々と知らない場所があること、地域で面白いことを始めようとしている人たちがいること、ネットを使えば買い物ができる時代、近くに買い物スポットがある以上に自然があるほうが貴重であること等々、自分のふるさとを初めて減点法ではなく加点法で見ることができた。
何より、自分の地元に対して知らないことがあまりにも多いことに気が付いた。
結局私はふるさとにUターン転職をすることを決めた。
高校生までの私は狭い価値観で地元を判断していたと思うし、大人になって広がった視野の先に地元が入ってきたのだと思う。都会で働いていた時は、「地元に戻ったら負けだ」というこれまた狭い価値観に囚われていたが、コロナ禍も相まって多様な働き方が認められている今、都会で働き続けても、地元にずっと残っても、経験を経て地元に戻っても、どれも総じて負けではない、という価値観を持てたのも大人になったからこそだと思う。
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高校の時とは一転して、私は私のふるさとが好きだし、今後はふるさとのために何かできれば、とも思っている。私が考える地域活性化とは、地域に面白い人たちが集まることだと思う。私は自分のふるさとで面白い取り組みができる人になりたいし他に面白い取り組みをしている人たちのハブになりたいとも思う。
まずは地元をよく知ることから、始めたいと思う。