私が最近「成長」したことってなんだろう。そんなことをぼんやり考えながら生活していたとき、ある素敵な考え方に出会った。

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いいときは「成功期」、悪いときは「成長期」。
これは、永松茂久さんのベストセラー本『20代を無難に生きるな』に書いてあった言葉だ。

「あのな、人生って波がある。みんなバイオリズムがあるんだよ。いいときが山で、悪いときが谷な」
「ここを『いい』『悪い』って考えるから行き詰まるんだよ。あのな、いいときは『成功期』、悪いときは『成長期』なんだよ」

悪いときを「悪い」というネガティブな言葉だけで終わらせるんじゃなくて、「成長期」と捉える。なんて素敵な考えだろうと思った。

正直、私のこの1年は散々な年だった。
新卒で入った会社は潰れるギリギリで、時給が最低賃金を下回るくらいの賃金の低さと残業の多さ。私は入社半年で、次に行く会社のアテもないまま退職した。
早期離職というネガティブイメージをぶら下げての転職活動。連日送られてくる「お祈りメール」の数々。
正直、23年間生きてきて、一番辛い1年間だった。
生まれて初めて、電車に飛び込みたくなってしまう人の気持ちがわかるような気がした。
自分が気づいたら、自らトラックに突っ込んでいってしまわないかすら、心配になった。
ほんとうにしんどかった。生きている感覚がなかった。
あれからいろいろと落ち着いた今、思う。
あのしんどかった期間は、「成長期」だったということ。

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私はあの辛い期間を乗り越えて、成長できた。
正直、それまでの私の人生において、強烈な挫折経験や失敗経験はほとんどないと言ってもいいくらいだった。
勉強も部活も、大変なこともありつつ、自分の欲しい結果を全て手に入れられていた。
そんな私は、人生に悩む人の気持ちに共感することができなかった。それがある意味、自分自身にとってはコンプレックスだったんだと思う。

でも、今の自分は違う。自分がどん底を経験したことで、強くなった。弱い人の気持ちがわかるようになった。
本気で「死にたい」と思う人は、どんな気持ちかを知ることができた。思うようにいかないことへの向き合い方を、知った。足るを知ることで、普通の日常がどんなに幸せなことか、理解した。
7年間の不登校経験がある弟には、「前よりも深みのある人間になれたんじゃない?」と言われ、尊敬する先輩には、「辛い人の気持ちを絶対に前よりわかるようになれたと思うよ」と言ってもらえた。
「ああ、この経験もムダじゃなかったんだな」と思えた。

23年間生きていて、一番辛かった1年間。
このしんどい一年が、これまでで一番成長した年だったのかもしれない。
ありがとう。最高にしんどかった2022年。