私は固形シャンプーを使っている。包装が紙だけで良いし、液体でない分小さく収められるので、輸送コストが少なく済む。素材にもこだわっているらしく、いろんな面で環境負荷が少ないことから使い始めたが、使い心地も気に入って固形シャンプーにしている。

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最初は不思議そうに見ていた両親も、今では固形シャンプー、もしくは固形石鹸で髪の毛を洗っている。気になる抜け毛が解消したらしい。それまで使っていた頭皮のマッサージ剤のようなものは、しばらく見ていない。あれはなんだったんだろう。

それまでは私も、液体シャンプーをいろいろ試していたが、薬局で求めるだけだったからか、シャンプーを変えてもイマイチ違いがわからず悩んでいた。少量パックをいくつか使って試したこともあるが、結局手頃なものに落ち着いた。しかし、買い替える時は、できれば他で良いものを見つけたいという思いもあった。

今は洗顔も、ボディーソープももちろん固形石鹸だ。どれも気に入りのものが見つかった。美容院で購入したヘアケア剤は使う気になれなくなり、そのまま放置してある。
昔ながらの石鹸が何故いいのかはわからないが、私にはシンプルなものが合っていたらしい。人により、合うものがそれぞれ違うからいろんな製品があるんだろうけど、こんなに複雑にしてしまう必要はあったのかな?という気もしてしまう。

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私も最初は、シャンプーは液体が当たり前だから、固形シャンプーは環境にはいいけど、使い心地はイマイチなんだろうなと思っていた。石鹸は小学校にもあって、昔から親しんでいたはずなのに、いつの間にか液体が当たり前になっていた。たしかに液体の方が良い場面もあるけれど、世の中の9割以上が液体派というのはおかしい気がする。
皆がいいと言うし、それでずっとやってきたから、よく考えずに液体がいいと思い込んできた。

もちろん液体のメリットもある。しかし、世の中に液体洗剤、液体シャンプーが溢れているからという理由で、石鹸の存在を蔑ろにしてきた気がする。これがなんだか、欧米文化とアジア文化にも当てはまるように思えてしまった。

欧米にもアジアにもそれぞれ良さがあるのに、アジアの国で暮らしている私たちでさえ、アジアのものはイマイチで、欧米のものを無条件にいいと思っている節がある。どれも良いところと嫌な面があるのに、そういうことは考えられていないことが多いのではないか。

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たまたま、アジア文化のことを考えていたから、こんなことに結びついてしまったんだろうけど、周りが良いというからというだけで、皆が欧米文化に飛びついているように見える。
とか言う私も、とりあえず海外に行くなら欧米だと思っていた時期があり、実際コロナ前にヨーロッパを訪れた事もあった。それももちろん楽しかったし、良い経験だったけど、アジアの良さにそれまで気がつけなかったのは、何かの力が働いていたような気もするのだ。

絶対にシャンプーは液体がいい、と思うのと同じくらい強い力が、欧米主義には働いていたと思う。その裏には、CMで液体シャンプーしか宣伝しないからとか、これは衛生面と盗難の問題もあるからだろうけど、温泉に行ったらシャンプーどころか、ボディーソープも液体しかないこととか、いろんな要因があると思う。

一度流してから使えば、家族内でなら衛生面も問題はないと思うが、考え方は人それぞれだし、不特定多数が使う場所では、やはり液体の方がいいだろう。液体がいろんなところで使われるのにも、もちろん理由がある。だから本当は、半々くらいになるのが良いと思う。そうならないのは、何かの力が働いている気がしてしまう。

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裏を返せば、何かしらの働きかけで、状況は変わるかもしれない。
例えばアジアの良さを取り上げた旅番組やCMを増やすとか、雑誌でアジア文化を取り上げるとかしたら、いい変化があるんじゃないか。韓国出身以外の芸能人も、もっと他の国で活躍できたら良いと思う。

アジアの国に向き合うことは、日本の歴史に向き合うことにもなり、それはそれでつらいこともある。それでも、あの国ほどは残酷なことをしていないのに、何故日本だけが叩かれるんだと言いたいところもある。他にも言いたいことはいろいろあるけど、それはもう少し歴史を知ってからにしよう。

特にこじれた近隣国たちと仲良くするには、知らなきゃならないことがたくさんある。しかしそんな難しいことを考える前から、中国や台湾にルーツのある友人がいた。個人レベルでなら、親しくなることもそう難しくはない。

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固形シャンプーのように、一見イマイチに見えて、自分にはぴったりはまるものも世の中にはあるはずだ。もちろん、液体シャンプーがいい人もいる。それは人それぞれだ。
でも、もし今使っているものがイマイチだなと思ったら、それまで使ってみなかったものに挑戦してみてもいいかもしれない。自己アピールが苦手なだけで、本当は素晴らしい能力があるものが、たくさんある。それは人間についても言えることかもしれない。