休憩時間に「かがみよかがみ」を開き、気になったエッセイを読む。
「『ふるさと』に思うこと」のテーマで投稿されたエッセイを読んでいると、あるかがみすとさんが、「ふるさとの意味」を投稿したエッセイの追伸に記していた。

「『ふるさと』は心の安らぎやありのままの自分でいられる場所。『故郷』は生まれ育った場所」

私にとって『故郷』ではなく『ふるさと』はどこだろうと考えると、場所ではなく、大切な人達の顔が浮かんだ。一人ひとりを思い浮かべていると、目がなくなるくらいの笑顔で「またね!」と言って改札から見送ってくれた親友の笑顔が浮かんできた。

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部活が一緒だったことがきっかけで高校を卒業した今でも仲の良いAちゃんは、県外に就職し、今でもそこで一生懸命仕事に励んでいる。
彼女とはいつの間にか13年の付き合いだ。私は毎年夏頃に彼女の住む街に遊びに行き、彼女の家で数日間お世話になる。
ドライブしながら永遠とおしゃべりしたり、ご飯屋さんを開拓したり、神社に御朱印をいただいたり、何もせずのんびり過ごしたり……。

私が好きだった前職を退職し、3人でずっと仲良しだと思っていたもう1人の友人に裏切られて心がぼろぼろになっていた時に「遊びにおいでよ!」と声を掛けてくれてから、毎年2人の恒例行事になった。私が仕事に励むモチベーションの1つであるそれも、今回で6回目になる。

私が以前付き合っていた人と別れたことを電話で報告した時。その当時、Aちゃんにはたくさん心配をかけてしまったから私は謝りたい気持ちでいっぱいだった。
「本当に心配と迷惑かけてごめんね」
「大丈夫だからごめんねなんていらないよ。最近は会える時間が無くなって寂しかったからその分たくさん会えたらいいな!」
と返してくれた彼女は、その後もたくさん面白い話をしてくれて、元気のない私を励ましてくれた。泣いたり笑ったり忙しかったけど、すごく私は救われた。
そしてひとしきり笑った後、
「今年はせっかくだから私の家じゃなくて少し良いホテルに2人で泊ろうよ!」
とAちゃんが提案してくれて毎年の恒例行事が動き出した。

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2人で旅行サイトを駆使して料金や部屋の様子、温泉の有無などを吟味して選んだホテルは本当に素敵な場所だった。
「広―い!ねえ、入口に馬のオブジェ置いてあるんだけど!」
「わ、ロクシタンのシャンプーだよ!いい香り~」
「2人なのにソファ6人くらい座れそう!ふかふか!」
「もぴ~!このコーヒーメーカーお湯しか出ないよ~」
もういい大人な私たちだけど、お洒落なコーヒーメーカーに悪戦苦闘してゲラゲラ笑ったり、ふかふかソファにダイブしたり。2人とも高校時代みたいにとにかくはしゃいだ。Aちゃんが操作するとなぜかコーヒーじゃなくてお湯が出てくる様子を撮った動画は今でも元気がない時に観るくらい楽しげな2人の笑い声が入っている。

ゆっくり温泉に入った後はお酒を一緒に飲んだ。老後やお金、病気など真剣な話をしたかと思えば、2人とも二人姉妹のお姉ちゃんだから妹自慢がいつの間にか始まってお互いの妹を褒め合ったり、今まで何度こすったか分からないけどやっぱり出てくる部活の思い出話をしたり。
Aちゃんが途中でお酒を飲みながらこう言った。
「一生懸命仕事も貯金も頑張ってるの知ってるから。こうして自分のご褒美に誰かと一緒に何かするなら、絶対もぴしかいないな~って思ってたから今日来れてほんとよかった!」

私も彼女が地元を離れた土地で仕事も貯金も頑張っていることを知っていたから、今までしてきた努力をお互いに共有できた気がして、その言葉が凄く嬉しかった。
本当に彼女といる時の私は飾らず、ただけらけら笑ってる気がする。
そう思ったらいつもそう感じさせてくれる彼女の押し付けない心地よい優しさが本当に温かくて、ありがたくて、お酒を飲んでるせいもあってちょっと泣きそうになった。

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楽しい時間はあっという間に過ぎて、私が帰る時間になった。
改札口でお互いに「またね!」と言って、Aちゃんは私の大好きな目がなくなるくらいの笑顔で私を見送ってくれた。
あぁ、本当に楽しかった。Aちゃんも、Aちゃんが暮らす街も本当に好きだなぁと、Aちゃんと一緒に撮った写真を見返しながら帰路についた。

これまでも私が辛かった時、Aちゃんはそばにいてくれて、「いつでもおいでよ!」「ご飯食べに行こう!」といつも手を差し伸べてくれた。時には私のことを思って涙を流すくらい、自分のことのように私を大切に思ってくれる。そんな彼女の住む街と彼女のおかげでこれまでも色んなことを笑い飛ばしてこれた。
私もAちゃんにとって、彼女がありのままに笑っていられるような、強くて受け止められる人でありたいと思う。

本当にいつもありがとう、これから歳を重ねておばあちゃんになっても、時には助け合いながらずっとけらけらと笑い合える関係でいられたらいいな。