高校の時、私は肌が弱いのもあって、腕や足の毛を剃らないこともあった。
毛深かったので、紺のスクールハイソックスで長く伸びた足の毛を必死に隠していた思い出もある。高校は幸いにも水泳の授業がなかったけれど、夏は暑くて長袖をまくり上げるから、腕毛が見えるとなぜだか恥ずかしく感じた。

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部活動をするとき、冬でも半袖で活動するから腕の毛をそらないといけないなと、当時の私は思っていた。しかし、その反面なぜ剃らないといけないの?と疑問を感じていた。
ティーン雑誌を読むと、つるつるに毛を剃ったほうがモテると載っていた。さらに読み進めると、その雑誌には男子の意見として、ぼさぼさにはえたままの毛を見ると女子だと思えないなどと好き放題に書かれていた。

これを見た当時の私は、情報を調べる力も弱かったので信じ切ってしまった。周りの友達は夜、お風呂に入るとき必ず毛を剃るというし、実際に彼女たちの肌は毛をきれいに剃られていた。それが身だしなみの一つだと言われているような気持ちになった。

さて、私には姉がいる。私が脇の毛をそらず放置していると姉に「剃ったほうがいい。そのままにしてるなんて、みられたらやばいで」としょっちゅう言われたものだ。姉からすれば年頃の若い妹に対する親切心で言ってくれたに違いない。
しかし、私は何でそんなこと言われないとあかんのと猛反発。天邪鬼な性格もあって、脇の毛をその時は剃らないことにした。

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脇の毛をはえたまま放置しているのは、女子としてあり得ないよと言われたこともある。私の好きにさせてほしいと何度も思った。
毛を剃ることに納得はいかなかった。でも結果としては、私は脇に汗を大量にかくので毛がじっとりとして気持ち悪くなるからと、あとでこっそりお風呂場で剃った。

ただ私がその雑誌や、周囲に言いたいことは、毛を剃るも剃らないも自由だということ。
世の中には脱毛の広告がいっぱいで、電車やYouTube、Twitterにも脱毛をおすすめされる。
私はこの環境にいると必然的に毛を剃らなければという気持ちになってしまう。
でも、それって誰のためなんだろう?

もちろん毛を剃ったり、脱毛したりして自信を持つのもいいと思う。でも私は毛があることが悪みたいな広告の書き方は、なんだかおかしいと思う。毛が生えるのはごくごく自然で当たり前のことなのだから。

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それに異性の目を気にして生きる人生なんて、生きづらい。もっと自由に、毛があってもなくてもいい。その人自身の魅力を見てほしい。
海外では、毛を処理しない女性も増えてきているという、あるニュースを見た。だんだん、ボディポジティブの運動も広がって、変わりつつある。

高校の時の私に伝えたい、「自分の毛を恥ずかしいと思わないであげて。人間の毛は肌が傷つかないように、守ってくれているよ。もちろん自信を持ちたいとき、剃ってもいいと思う。でもあなたの魅力はたくさんあるよ。毎日息をして、生きている。本当に、毎日よく頑張っている。ぼちぼちと進んでいこう」と。

私たちは変わることができると思う。強制ではなく、毛があってもなくても自由でいられる選択肢が欲しい。より生きやすい社会になってほしい。