自分の通帳を開くと、予想以上の出費に目ん玉飛び出そうになることがある。何にこんなに使ったっけ。家賃と生活費を除いてもあまりにも出費が……。
あ、美容院か。スキンケア用品も一新したし。あと、ちょっとだけ奮発して素材にこだわった生理用品にも手を出したな。うーん、これじゃあ来月から始めようと思っていた医療脱毛は難しいか……なんてことを毎月末に考える。
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私は人に恵まれてきたからか、あからさまな性差別を受けたことはない。よって、自分が女性であることを後悔したことは一度もないのだが、唯一挙げるとするならばお金がかかりすぎることだ。
これに反論があるとすれば、「ぜんぶ自己満のための代物じゃないか」とか「生きていく上でマストじゃない」とかだろうか。
確かに美容院なんて行かなくても生きていけるし、毛なんて放置していても元気だし、生理用品だって安いものを使っていればいい。
でも本当にそれでいいのか。女性が“女性”として生きていく上で、“美しさ”は必要事項だと思っている。それは、直接的に命には関わらずとも、間接的に社会とつながっている生命線だ。
実際、2022年には、1000人の男性のうち、約半数が女性のムダ毛を気にしたことがあると回答した調査結果まで出ている。男性の半分が女性のムダ毛を『ネガティブに』気にしているのだ。男性の中には、女性は毛が生えない生き物と勘違いしている人もいるらしい(恐ろしい)。
もちろん毛を処理しないことを否定しているわけではない。ただ、女性が美しさを保つのはやっぱりどこか“男性のため”だったりするのだ。
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医療脱毛は8回で相場40万円。それでも毛が完璧になくなるわけではない。追加で施術が必要な場合もあるし、肌の状態によっては脱毛で肌トラブルが起こる可能性もある。そうなればまた追加で皮膚科や薬や……なんて出費に繋がる。“医療”脱毛なのに、保険適用外なのも納得いかない。
「髪は女の命」と昔からよく聞く。諸説あるが、男性は本能から髪に惹かれる生き物らしい(髪以外の毛は『ムダ毛』と称して気にするくせに)。となれば髪は綺麗にしておかなくては。しかもずっと同じ髪型だと男性に飽きられてしまうため、たまには短く切ってみたり染めてみたり……。髪の質をよくするため、髪をイメチェンするため、美容院通いは免れない。
話は変わるが、私は生理痛が酷かった。下腹部に米俵がのしかかっているような鈍痛にずっと見舞われていた。母の助言で、ナプキンをオーガニック性コットン100%のものに変えたら、その痛みはなくなった。
どうやらナプキンに使われている化学成分が原因だったらしいのだが、やはり通常のものに比べてオーガニック製品は若干高い。高いが、女性としての機能を司る子宮に負担はかけたくない故、私はこれからも100%オーガニックのナプキンを使い続けるだろう。
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挙げていけばキリがないが、要は「女性はめちゃくちゃお金をかけて美しさを保っているのだから、それなりの奨励と援助をくれてもいいのでは?」ということを言いたい。
医療脱毛は保険対象とし、美容院でのトリートメントや生理用品は税金でまかなってほしい。世間が女性に美しさを求めるのであれば、ある程度の後押しをしてくれてもいいのではないか。
とはいえ、これはあくまで女性からの視点で、男性側の出費に関してはまったく知見がない。もしかしたら女性の予想だにしていないところで免れぬ出費を背負っているのかもしれないが、とにもかくにも男女間でそういう出費の差がないようにしてほしいというのが私の願いだ。