仕事をする時、先方に女であることを知られたくないのは私だけでしょうか。
コールセンターでバイトをしていた時、苦情の電話が入って対応していたことがあります。
当時大学生だった私は電話口で怒り狂う大人の男性に萎縮してしまい、適切な対応が出来ませんでした。

見かねた男性スタッフが、私に代わって対応して下さったところ、すぐに収束した、ということがありました。
私の経験不足や至らなかった点があった、など要因は様々考えられますが、その時男性スタッフに言われたことが今でも頭に残っています。
「女の人だと、結構強く言ってくる人はいるからね。もし困ったことがあったら相談してね」

そのお心遣いにどれだけ救われたか分かりませんが、私が女だったから、あんなに怒鳴っていたのかな、と思うと背筋が凍る思いがしました。
私が女だったから、暴言を吐いても良い相手だ、と見做されているとしたら……。
少しだけ、自分が女であることが怖くなった思い出です。

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その後、社会人になり、営業として働いていたときのことです。
私の対応に至らない点があって、お客さまにお叱りを受けたことがありました。
その際も、私一人で謝りに行くことは許されず、上司と一緒に謝りに来い、との電話がありました。

その際、電話口で「だから女の担当なんて嫌なんだ、バカばっかりなんだから」と言われたことを今でも覚えています。
後日上司に電話があり、男性の担当者に変えてほしいとのリクエストがあったようで、私は担当を外されました。

私に至らない点があったことが全ての原因ではありますが、「だから女の担当なんて嫌なんだ」という言葉がどうしても引っかかりました。
前任者は男性で、その方とはうまくやっていたと聞いていたので、もしかしたら本当に私が女だったからこんなに怒ったのかもしれない。
女の人になら暴言を吐いていいとか、女だからバカだとか、性別で誰かを評価していいんだったら、男女平等なんて幻じゃん、くそじゃん、と会社で泣いたのを覚えています。

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営業は、お客さまと対面する機会が多いので致し方ないとしても、カスタマーサポートやコールセンターなどは先方に自分の性別を明かす必要はないと思います。
もし今後私がそのような部署に配属されることがあったら、社員の顔や性別を必要以上に外部に露出したり、同意無しに露出したりしないような、社員を守る工夫を提案していきたいな、と強く思っています。

電話口の声を機械で変えるとか、チャットのアイコンをアバターにするとか、性別を特定できないような工夫を散りばめて、女だからとか男だからとか、働きの質ではなく性別で評価されるようなことがない会社作り、そして社会作りを目指していきたい次第です。

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こういった話をすると、「私は女だからって舐められないように人一倍努力してきたから、あなたの努力が足りないんじゃない?」というご指摘を女性の先輩社員の方に頂いたこともありますが、そもそも女だから人一倍努力する、という感覚も、古くあってほしいと願ってしまいます。

女だろうと男だろうと、公平に評価されるべきだと私は思うし、そのような社会を望みます。
もちろん逆も然りで、男だから我慢しろ、男だから泣くな、男だから諦めるな、みたいな、男性を苦しめるような根拠のない押し付けも全く好ましいとは思えません。
性別を理由に、誰かが不当に評価されることがイレギュラーとされる世の中を目指して、まずは私が目指すべき姿であろう、と背筋を伸ばしたい今日この頃です。