「なんで女なのに化粧しないの?」
「なんで女なのにスカート履かないの?」
「なんで女なのに髪の毛が短いの?」
言われたことがある人も、言ったことがある人もいるかもしれない。
服装や髪型というのは、性別に関係なく人それぞれの好みによって決めるものだけど、「男だから」とか「女だから」という区分けによって、「してはいけない服装や髪型」もしくは「するべき服装や髪型」というものはなんとなく決められているように思える。
「男でも女でもない」自分。きっかけは一人のロックミュージシャン
私は普段、男とも女ともつかない格好をするのが好きだ。とはいえ、大多数の人が私のことを女性として認識している可能性は十分にある。
しかし、私の心の中での自分は「男でも女でもない人間」なのである。
一体どういうことなの?と思ったでしょう。
突然だけど私は、音楽が好きだ。その中でも特にロックが好きな私はある時、一人の男性ロックミュージシャンの存在を知った。
そのロックミュージシャンは男なのに髪の毛を肩まで伸ばしていて、服装も男らしいけど女性でも着られそうなデザインのものを着ていた。それに、顔に化粧もしていたし、ヒールの高いブーツも履いていた。
そんな彼の姿を見た私は、
「これだ……!」と気付いた。
男だから髪の毛は短くなくてはいけないはずなのに、彼は髪の毛をセミロングくらい伸ばしている。
それに、男は化粧をしないはずなのに目元にアイシャドウを付けて、アイラインも引いている。服装だって、女性が着ていても違和感のなさそうなデザインだ。
私はそのロックミュージシャンから、「中性」というオシャレを見出だした。
無理をしていた私。「縛られなくていい」と彼から学んだ
その男性ロックミュージシャンは、男だからこうあるべきとか、女だからこうあるべきという概念を取っ払ってくれた。少なくとも私の中では。
彼に出会うまで、私は無理をしてメイクをしていたし、女性らしいデザインの服を着たりヘアアレンジもしていた。
でも、常に心の中には「何かが違う」という葛藤があった。
友達と出掛ける時にメイクポーチから選んだ綺麗な色のリップを塗ってもワクワクしないし、流行りの女性向けのファッションに身を包んでもそれほどウキウキしない。
なぜか「女性らしいオシャレ」を楽しめなかった。
精神科へ行こうかとか、どこかに相談した方がいいのかとかも考えたけれど、結局出した答えは、
「私は男や女という概念に縛られなくていいんだ」
というものだった。
性別の枠に囚われない「中性」という立ち位置で立ち向かう
何か特別な理由とか原因があるわけでもないのに、大人の女性として女性ならではのオシャレを楽しむことに魅力を感じなかった。でも、オシャレに無頓着な女ではいたくない。だけど、女性らしいオシャレはやっぱり苦しい……。
そんな葛藤から私を救ったのがロックミュージシャンとの出会いだった。
男とか女とかいう枠はぶち壊して、最早それを越えた存在になろう。
私が彼から見出だした「中性」という概念はそういうものだ。本来の言葉の意味とは異なるが、中間の性別という意味ではなくて、性別の枠に囚われないということだ。
「中性」という立ち位置にいる私は、前よりも自分らしくオシャレを楽しめるようになった。今回はオシャレという視点に特化して書いたけれど、それは生活全般においてもいえることだ。
もちろん、完全にジェンダー規範から解放されたわけではないけれど、心の中の「中性」というポリシーがあれば立ち向かっていけるだろう。