文章を書くことが好きだった。それを読んでもらって反応がもらえるのも嬉しいと感じていた。
小学生の頃は、本を読んだり作文を書いたりするのが好きだった。図書クラブで、友達と一緒に絵本を作ったこともあった。自分で物語を書いたこともあったけど、読み返して恥ずかしくなって数ページで終わっていた。
中学生になると、自分の気持ちを手帳やノートに書いていた。これは社会人になった今でも変わらない。学校指定のノートにも、その日あった出来事とそれに対してどう思ったかつらつらと書き綴っていた。担任はそれを学級通信に載せてくれた。反応がもらえるのはとても嬉しかった。

「こっちが恥ずかしくなる」。私の投稿もそう思われてるかも

高校生になると、スマホを持ち始め、SNSに自分の思ったことを書いたり、写真と一緒に数行コメントを載せたりしていた。でもある日友達が、
「ポエムとか自分の気持ちとか投稿してるの、イタい。なんかこっちが恥ずかしくなる」
と言った。私は一瞬自分のことを言われたのかと思って、自分が自分を遠くから見ているような変な感覚になった。
確かに、気恥ずかしい気持ちになる投稿ってある。それを私の投稿も思われてるかもしれないってこと?
なんだか急激に今までの自分が恥ずかしくなってしまって、私はそこから、そういった自分の気持ちやポエムを外に出すのを躊躇するようになった。
周りの目が気になる。書いても、読み返して恥ずかしくなって、消してしまうかアーカイブ。
そもそも、人に見てもらわなくてもいいのでは?と思い、手帳やノートに書いていたのを再開。誰にも見てもらわなくても、知ってもらわなくてもいい。だって、私の気持ちは私のものだから、別にSNSにあげていいねをもらうためにしていることではないから。

元々、自分で綴った言葉たちは、文字になった瞬間に自分のものじゃないみたいな感覚があった。だから、小学生の頃に自分で書いてた物語も、数ページ書いて、読み返して恥ずかしくなって終わった。友達から刺さる一言を言われた時、自分ごとに感じたのは、自分も同じことを思っていたっていうのがあったからかもしれない。

大学生になって「かがみよかがみ」を知った。名前も顔もわからないから、自分が書いたことを誰にも知られることはない。投稿してみたのはそこから1年後、社会人になってから。
初めて、不特定多数の人に読まれるような、しかもエッセイを書いて投稿した。どきどきしながら「かがみすと賞に選ばれちゃったらどうしよう」と、ニヤニヤ妄想してた。でもそんなことはなく、日々は過ぎていって2年が経った。

トップ10にあった私の名前。書いていいと言われてる気がした 

最近聞いたポッドキャストで「何かを書く時って、みんなどこかでかっこつけるから」と言ってたのを聞いて、肩の荷が降りた気がした。みんな知らないうちに周りの顔をを気にしてるし、かっこつけるし、でもそれでいいのかもって、思えた。

そういえばと思って久しぶりに開いた「かがみよかがみ」で、自分の名前を検索したら、投稿した1つのエッセイと、公式のまとめページが出てきた。不思議に思ってそのページを開いてみたら、投稿した月の閲覧数トップ10の発表だった。その中に、自分の名前が載っていた。
めちゃくちゃびっくりして、いや月間だから、その月に投稿した人が少なかったから、ただ入っただけかもと思いつつ、それでもなんだか「書いていいんだよ、書くことは恥ずかしいことじゃないんだよ」って言われてる気がして、嬉しくて、心臓がどきどきした。

自分が書いたものを読むことはまだ恥ずかしいし、人に読まれるところに出すのは勇気がいる。でも、今しか残せない気持ちや言葉を綴っておきたいと思ったら、書けばいい。外に出しても出さなくても、自分以外に読まれても読まれなくてもいい。
書くことは良い。

高校生の自分よ、
書くことは、恥ずかしいことじゃないぞ。