「公」と「私」の時間の過ごし方にはくっきり境界線があるわけではなく、どちらかというとグラデーションのようだと感じることが多い。休日でも仕事関連の勉強をしたり、プライベートで散歩しているときも、仕事のことがふとよぎって、ぐるぐる考えているときに解決策が思い浮かぶからだ。
しかしながら「公」と「私」で決定的に違うことがある。

私が隠している素顔は、本当はものすごくずぼらでだらしないということ。
「公」の私は、どちらかと言うとしっかり者や真面目に思われることが多い。基本的には、真面目にしているつもりだが、コロナのリモートワークでもともと自分の中にあっただらしなさの才能が開花した気がする。

◎          ◎

特に朝はぎりぎりまで寝ていたい。とにかく寝れる時は限りなく、惰眠をむさぼることが私の幸せな時間だ。リモートワークになり、最初の頃は以前の出社していた習慣から始業時間に余裕をもって起きていたが、だらしない方向に向かうのに時間はかからなかった。
アラームは健康的な時間にセットしているものの、もちろん1回では起きられなくて、スヌーズの嵐が襲ってくる。その嵐を無視して2度寝を決め込んで、始業時間の5分前に未練を残しつつも何とかベッドから出てくる。

とりあえず一番にPCの電源を付け、始業時間ちょうどに作業を開始する。基本的には部屋着のゆるーい格好で、もちろん化粧もしないで、仕事をしていることが多い。
さっき起きたことを悟られないように、必死にあくびを噛み殺しながら朝のミーティングに参加していることも少なくない。だらしないとわかっていても、リモートワーク生活の中で染みついた習慣は変えることがなかなか難しい。

最近になって、withコロナとなり、徐々に会社も出社に舵を切り始めた。そこで悩ましいのが、チームメンバーには出社しようと促進しつつも、内心は「できるなら私もリモートワークが良い!」という思いを抱いていることだ。

◎          ◎

そんな生活が長かったためか、最近オフィスに出社して仕事をしていると極端に肩が凝るようになってしまった。リモートワークと環境が違ったり、オフィスの方が雑念なく仕事に集中して、ほとんど動かないというのもあるが、やはり1番は周りにいる人の影響だろう。別に誰かに監視されているわけではないが、近くに仕事をしている人がいるというだけで、なんとなく意識するものがあり、肩が凝る。
私の会社は基本的にアドレスフリーなので、近くに座っている人は、全く違う部署の人のことも多い。だけど、たまに同じ部署の人がいると、いつもさぼっているわけではないのだが、やっぱり「あ、真面目にしよう」と思ってしまう。それに、そういう私自身は結構周りの人を盗み見・盗み聞きしたりしている。特に同じ部署の人たちに関しては、どういう仕事をしているかも含めて見てしまう。

「この人の説明の仕方上手いな」「あ、この人今このプロジェクトで、こういうことしているのね」といった仕事ぶりから、パソコンと備え付けのモニターと自前のモニターと後付けのキーボードを使っている人を見て、「めっちゃ装備充実させてるやん」とか思ったり、定期的に保湿ケアしている人を見つけたりと、くだらないこともある。

そういうくだらないことに意識が及んだりついつい気になってしまうからこそ、「だらしない自分」が周りにいる人に気づかれていないか気になるのだと思う。
願わくば、この「だらしのなさ」はこの先も上手く隠していきたいし、出社によって少しは改善されてほしい。