以前、エッセイで今の彼と別れるだろうと書いた。今回はその結果について書きたい。
結論から言うと、私は彼に別れ話をしないことにした。散々別れると言っておいてなんだと自分でも思う。面倒くさくてどうしようもないとも思う。
でも、彼には匂わせもなにもしていないからグレーゾーンでぎりぎり許してほしい。
元々恋愛感情的な「好き」がなかったことに悩み、後ろめたさを感じ、別れた方がいいと思っていた。そこから付き合い続けるという決断に変わった理由をお話ししよう。
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今更私に恋愛感情が生まれたわけではない。相変わらず私にとって彼は信頼できる人であり、大切な人だ。ただ考え方が変わった。
今までは「たった」、「たかが」という枕詞がついていた。恋人である以上、「好き」という甘酸っぱい感情が至上のものでなければと思っていたから。
でも、インターンを始めて、新しいことに挑戦し、色々な人の話を聞く中で、思ったのだ。彼のように無条件に私が信頼できる人って意外といないということを。その関係を大切にしたいということを。
社長さんが言っていた。
「あの2人がいなかったらこの会社は始められていなかった。僕は騙されていないかビクビクしながら決算書を渡すことはできない。信頼できる2人がいたことは僕の人生において奇跡のようなものだ」
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私は用心深い方だと思う。グループワークでもなんでもその人がきちんと割り当てられた仕事をやってくるか、ただやるだけでなく内容が充実しているか大概疑っている。だからもしもの時のために全員分の担当箇所に目を通す。
視座が高く、私より年上で経験も豊富な人の多いインターン先でもそれは同じだった。
申し訳ないが、私には誰かに決算書を渡せる勇気はなさそうだ。
でも、彼ならば。高校の時、一緒にリーダーとしてクラスをまとめたことがあった。分担した仕事はなんの疑いもなく任せられた。だから彼にしか分からないことがあったし、同様に私にしか分からないこともあった。それに違和感を感じることもなかったし、むしろ互いの負担を減らせていいとか、頼りになるとか思っていた。
彼になら決算書、渡せる。そう思った。
また、先輩がこうも言っていた。
「憶測で語るな。データと根拠を持ってこい。やってみてダメならその時何でダメだったのかを考える。自分たちが思っているのと原因は違うかもしれない。やる前から決めつけることが一番ダメなんだ。真因を探せ」
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私は彼を好きになりたかったけど無理だったから、別れた方がいいと思った。でも、別れる理由、根拠はない。ドキドキしないと上手くいかないデータはない。
好きになる努力はした。それが無理だった。でも2年も付き合ってきて楽しい時間をたくさん過ごした。なら真因は別にあるかもしれない。
今度は、ありのままの自分で過ごしてみよう。上手くいかなければその時真因を考えよう。上手くいくなら私の固定観念が私達には合わなかったというだけのこと。
別に彼と何か事業を起こしたいとか、家計を一緒にしたいとかではない。けれど、信頼できる彼だから見せられる顔も、言えることもある。
どのみち別れたい理由はないのだ。少なくともその理由が見つかるまでは、それで私が幸せだと素直に感じられるならば、無条件に信頼できる彼と、もう少し一緒にいてみようと今は思う。