春。凍てつくような寒さを超えて、薄着の人たちが増える春。
陽気な空気に包まれて、心なしか人々の表情もいくぶん柔らかくなったように思える。
この季節の始まりが、私はとても好きだ。

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離婚して約半年。小さい子どもを2人も連れての離婚は、心身ともに疲れ切った。
何とかしばらくは実家に置いてもらえることになったけれど、それもいつまでかは分からない。

不安定な気持ちのまま、どうにか仕事や育児、家事もしながら毎日を駆け抜けてきた。
何度も将来を危惧したことがあった。その度に確実に気持ちはすり減っていった。

考え過ぎてもどうにもならない。そんなことわかってはいるのに、どうしても心はネガティブなもので悪い方へと考えが行ってしまう。
そんな中で大切なのはやはり、身体を動かすことだった。

元々ウォーキングは趣味だった。子どもができるまでは、大好きな音楽を聴きながら、どこまででも歩いた。朝昼晩関係なく、足が思うままに、ひたすら歩いた。
自転車で30分かかる当時の職場まで、1時間以上かけて歩いたこともある。

身体を動かすことは好きだ。スポーツの類はまったくやってこなかったし、むしろ自分は極度の運動音痴だと思っていた方だったが、身体を動かすのは気分転換になるし、何よりストレス発散になる。

子育ては体力を使う。精神的な強靭さも求められる。
子どもは2歳と1歳の男の子。よく動くしやんちゃ盛りの年頃の子を相手にするのは正直きつい。もちろんかわいいが、かわいいだけではやっていけない。 

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そこで、春。暖かくなってきた季節に乗じて、思い切ってジムと契約してみた。決して安い金額ではない。シングルマザーが軽々しく手を出すような金額でもない。
金銭的な不安は確かにあった。けれども、自己投資をしてみたいという気持ちには勝てなかった。

そして、契約したからには絶対に最後までやり遂げようという強い気持ちもあった。大きな不安を抱えながらも、私はついに歩き出したのだ。

個人が教えてくれる、パーソナルジムにした。各々が自由にトレーニングできるジムだと、24時間営業と言えど良くも悪くも自分のペースでやることになる。
自分でしっかり調整し、追い込める人には向いているのかもしれないが、自分の性格上そこまで厳しく出来る自信はなかった。

パーソナルジムなら、あらかじめ予約を取っておいて、その日に行くという口実ができる。そして60分なら60分、みっちり追い込んでもらうことが出来るのだ。自分の怠惰な性格を知っている以上、そうするほかなかった。

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早速先日トレーニングをしてきたが、やはりきつい。
しかし、鍛えて体力をつけていきたいという想いがある限り、頑張れそうな気がしている。

身体を動かすことはメンタルを鍛えることにもつながるはずだ。

気持ちが落ち込みがちな夜に健全なメンタルでいられるよう、継続していきたいと思う。

去年は、しんどくてつらい気持ちの方が多かった。子どもにも笑顔で接することはできなかったかもしれない。不安の方が大きくて、上手く笑えていなかったかもしれない。

今も、多少の不安はある。子どものこと、経済的なこと、親との関係、仕事のこと……。

しかし、少しずつ歩き始めた私。
いつしか本当に心の底から笑えるように、この歩みを大事にしていきたい。