今から7年前のちょうど今頃、私は院生になってから教職を始めるという大きな決断をしました。履修する科目は大幅に増え、両親も教授をも困惑させることとなりましたが、私の決断に揺るぎはありませんでした。教職の受講は結果として多くの友人と出会うきっかけともなりましたが、その中でも直接は関わりのなかった、でも名前を知らない私に対しても親切にしてくれた貴方へ、もう一度会ってありがとうと伝えたく思い、私はここに筆を執りました。
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貴方との出会いは、2016年。今から7年前のことでした。初めての教職で親しい友人もおらず、私は一人、学部生が多く集まる教室にぽつんと入っていきました。分からないことだらけでトラブルも多く、せっかく履修したのに登録されていなかったり、始まる日を間違えて最初のコマを履修し忘れてしまっていたり、本当になにもかもやらかしの毎日でした。そんな貴方と出会ったのは2016年の4月。私が誤って他の教室に入ってしまったことがきっかけでした。私は何を勘違いしたのか、誤って語学の教室に入ってしまったのでした。なんとなく違和感を覚えた私は
「あれ、ここ教職じゃなかったでしたっけ?」
と、周囲の人に尋ねました。やはり、私は間違っていたようでいったん外に出ると、貴方は私を追いかけてきて
「教職の掲示はいつもここにされるのですよ」
と、教職の掲示板に連れて行って下さいました。なんて親切な方なのだろう、その時そう感じたのを覚えています。しかし、講義が始まる間近の時間でしたので、お名前を聞きそびれてしまいました。当時伺ったところ教育学部の4年生で、文学研究科にも興味があると仰っていたので、5年近くの年月が経ってSNSで繋がることのできた貴方に違いありません。
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この出来事から一年半が経った頃にも、貴方は私のことを教室に案内してくれました。当時教職課程の先生に用事があり訪ねようとしたところ、他学科に所属していた私はたどり着くことができず、たまたま居合わせた貴方に道を尋ねました。すると、わざわざあの時と同じように私を道案内してくれました。貴方の顔はFacebookの知り合いかもの所に表示されており拝見したことはありましたが、私は念のためにお名前をお聞き致しました。すると、やはり貴方は当人で、人柄の良さがお顔に表れておりました。その時も私はおろかで名乗ることはなく、「ありがとうございました」とお礼を言ってその場を去ってしまいました。結局在学中は貴方と顔見知りになることなく終わってしまいました。けれども、貴方が所属する教育学部、教育学院の方々に慕われていたことだけはこの場を借りてお伝えさせて下さい。共通の知り合いの話になった時に貴方の名前を出すと、その誰もが良い人と仰っておりました。貴方が見せた親切心は誰に対しても平等で、本物だったことが分かりました。どうにかお礼を言おうとFacebookに友達申請をしましたが、私が名乗らなかった故に承認いただくことはできませんでした。
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そんな私と貴方との関係が結ばれることとなったのは、修了から1年以上の年月を経た2021年のことでした。どうにかお礼を言う方法はないかと貴方のTwitterをフォローしておりましたが、ちょうどその頃貴方は学生証を紛失され、私はFF外からその体験談をお話し致しました。その時ようやくお礼を言うことができましたが、当然ですが直接言うことはできませんでした。実は、Facebookの友達の一人でいらっしゃるご家族だと思われる方のものも拝見しておりましたが、そこのリンクにある貴方のHPもひそかに閲覧しておりました。国際平和への関心、地域活動の開催など、貴方の人柄の良さと社会貢献意識の高さを改めて伺い知ることができました。貴方は常に私たちに人間のあり方を教え伝えて下さっているのだと思います。
昨年の12月、私は研究室のメンバーに会いに札幌を訪れる予定でありました。コロナの蔓延によって叶いませんでしたが、その時ついでに貴方にお会いできればと思っておりました。今年は活動制限が緩和されつつあり札幌を訪れる予定でありますので、博士論文を提出される前に、是非一度お礼を申し上げに参りたいと思っております。
人間のあるべき姿を見せてくださった貴方へ、ありがとうと伝えたい。