この前、幸運な出会いをしました。いや、あんたのことよ。

まず、出会った時からテンション感が似てるんよな。だから一緒にいてすごく楽。いろんな人から「感情が薄い」と言われてきた俺に、感情を見出してくれる。趣味が全然違うのに、俺の趣味にも興味を示してくれる。俺の好きな夜のドライブに連れ出してくれて、お礼に振る舞う料理を「マジで美味しい」とニコニコ食べてくれる。

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でさ、苗字が似ててさ、血繋がってるんじゃないかってくらい、実家の常識が同じ。あんまり自覚はなかったけど多分少し厳しめの家庭で、小さい頃両親に教わったことや、言われて育ったこと、制限されたことまで同じ。だから会ってる時は「今日何時に帰らなきゃいけない?常識の範囲内?」「うん、常識の範囲内」で、しっかり通じる。あれ、本当に助かる。常識とか普通とかって、結構その家庭によるところあるじゃん?

ねえ、一緒にカラオケに行ったときは、お互いの声がどタイプすぎてやばかったよな。「あれ歌ってよ」ってお互いにリクエストして、「うわ声やば」って反応もお互い様。本当にいい声してんだもん、あんた。そのうるっせぇ声量も長所よ。またカラオケ行こうね。

最初に電話で話したとき伝えた、俺の個性「相貌失認」を分かろうとしてくれるのも最高。俺は人の顔が分からないから身長や声で人を判別してるってのを理解してくれて、そのうえ興味津々に聞いてくれる。他の人って、きっと気を遣ってくれて、触れちゃいけないみたいな風に思ってる。けどあんたは外で待ち合わせるとき絶対服装教えてくれるし、「絶対見つけるから大丈夫」って言ってくれる。本当に心強い。

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けど全部合うってわけじゃなくて、食べ物の好みは別にそんなに合わないし、服の好みも、違くはないけど同じじゃない。得意なことは全然違う。多分、同じじゃないから楽しいんだろうね。

いちばん合う趣味は、ピアス。お互い耳にはシンプルなシルバーピアスをたくさん付けてて、一瞬で悟った。耳以外だと、あんたは舌に、俺はへそにピアスがついてた。ぐうえろ!!!って盛り上がったけど、「インダス開けてほしい。ニードルで」って言ってきた時は流石にちょっとビビったわ。俺もあんたと一緒で、ニードル扱ったことないもん。

俺さ、ロブは全部自分でピアッサーで開けてるんだけど、アンテナは昔の友達にニードルで開けてもらったんよ。そいつとはもう縁切れちゃったんだけどさ、開けてもらった瞬間のことも、そいつのことも、一生忘れんのよ。ピアスって、結構そういうものなんよ。

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それで思った。あ、わたしあんたにとって一生忘れられない女になりたい。一生忘れられないポジション、他の女に取られたくない。

俺これでも真面目だからさ、結構色々調べて、動画もたくさん見て、準備万端であの日あんたの耳にニードル刺したんよ。痛かっただろうし俺めちゃくちゃ緊張したけど、あんたはもうわたしを一生忘れられない。もちろん俺もあの瞬間を、そしてあんたを一生忘れられない。

マジ幸運な出会いしたよ。俺も、あんたも。