「24時間選挙のことを考え、実行できる女性は少ない」と言った政治家がいるらしい。

私はある意味この言葉に同感である。どんなに男女同権が進もうとも、たとえ独身で子どもを持たない女性であっても、それは難しいだろう。
なぜなら毎月の月経やPMSに悩まされるのも、つわりがあってほぼ1年間子を体内で育て、痛い思いをして子どもを産むのも、母乳を直接与えるのも、ぜんぶ女の肉体でしかできないからだ。

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そもそも大昔から「産後の肥立ち」という言葉があったように、医療が未熟だった時代や地域では出産は命懸けだし、医療が発達した現在の日本には「産後うつ」がある。
男性は性行為や体外受精のためになにがしかを出してしまえば終わるけれど、子どもを産むかどうかの意志の有無に関わらず女性は生きていれば子宮が生殖に向けて動き続けるし、それが終われば更年期がやってくるのだ。

月経やPMSが辛いならピルを服用すればいいではないか、と思う人もいるだろう。今は最大120日間月経が止められるピルもある、と。
私は月経困難症で処方される最大量のピルを服用しているが、それでもPMSはあるし、このピルは連続服用ができないから毎月消退出血(擬似的な月経)が起きている間はまったく体も頭も使い物にならない。こういったことは個人差が大きいから女性同士でもわかり合えないことですらあると思う。

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「男はつらいよ」、という有名な映画がある。このタイトルが何を指して辛いと言っているのかはわからないが、女性としての肉体を抱えて生きる個人としては、いや、きっともっと「女はつらいよ」と言いたい。
もちろん、高度成長期のシステムが残り続け、扶養控除があるがゆえに働き控える女性が未だ多い日本では、「家族を養わなくてはならない」という観念が強いままで辛い男性もいるだろうし、なまじっか身体が耐えられるからと残業を強いられるのが辛い、と言う男性もいるだろう。

ただ、ある意味男性側も辛いこの構造を変えるならば女性の声を大きくするしかないと思う。管理職になりたがらない女性や若い男性が増えているというが、それならば管理職のあり方をまずは現在の管理職が変え、そして女性の管理職を増やしていくしかないだろう。選挙や政治についてもそうだ。つまり今、その場所にいる人が自覚を持って仕事をすることを願うことしかできない。
だから冒頭の発言が選挙や政治──ひいては世の中の働き方が、そんなにマッチョで男性的であることを是正した方がいい、という議論の契機になることを私は期待したい。

男性もバリバリ働きたくない、という選択肢を選べるように、総合職や一般職といった区別をなくし、個人個人のキャリアや生活を国や自治体や企業が尊重するようになり、女性の管理職や政治家にただの頭数ではなく実際にさまざまな人に道が開かれれば、管理職にも政治家にも時短や育休があっても回るシステムができれば、きっともう少しみんなが生きやすい世界がやってくると思う。