2023年1月から始まったドラマにとてもお気に入りの作品がある。『ブラッシュアップライフ』だ。お笑い芸人であるバカリズムが脚本を書いたタイムリープ系ヒューマンコメディ。人間に生まれ変わることを目指して何度も人生をやり直す主人公の姿が、人間的で可笑しい。

私が好きなのは、仲良し3人組の自然なやり取りだ。3人が楽しげに話している様子を見るときは、特別な気持ちになる。私にとっての仲良し3人組と言える友人のことが頭に思い浮かぶからだ。

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友人のうちの1人、Oとは小学3年生の秋に出会った。12年来の仲だ。
Oが転校生として私のクラスにやってきたのが、仲良くなったきっかけだった。転校生というのは物珍しいもので、最初はとにかく話しかけたくなる。ただ、私には誰よりも話しかけたくなる理由があった。引っ越してきたOの家は、私の家の2軒隣だったのだ。こんなに近くに引っ越してきた子が同じクラスだなんて!仲良くなるしかない!そう思っていた。

それからは私の思いが通じたのか、休み時間を一緒に過ごし、授業が終われば一緒に帰る仲になった。卒業までに同じクラスになれたのは最初の1回だけだったけど、あのタイミングで同じ時間を過ごして仲良くなれたのは幸運だった。

家が近いので、Oとは中学校も同じだった。合わせたわけではないのに、部活も同じだった。吹奏楽部に入った私たちは、話し合ったわけではないのに同じ楽器を吹くことになった。そして、ここでもう1人の友人Hに出会った。

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Hの最初の印象は、正直に言うと良くなかった。
入部したてでお互いが何者なのかまだ分からない頃に、同じクラスのHに勇気を出して話しかけた。「同じクラスやんな?名前なんて言うん?」と。私は当然、名前を笑顔を添えて教えてくれると思い込んで話しかけたのだが、Hは微動だにせずただ前をまっすぐ向いていた。え?聞こえてない?無視された?困惑したが、なぜか腹が立ったり嫌いになったりはせず、「不思議ちゃん」という枠に入れておいた。

Hとも同じ楽器を吹くことになり、少しずつ話をするようになった。平日は授業の後に毎日練習、土日は1日中練習という日々の中で仲良くならないほうが不自然だ。
仲良くなってからは彼女が極度の人見知りだと分かった。あの日、急に話しかけられて緊張して声が出なかったんだ、と。人見知りあるあるかもしれないが、1度心を開くと人が変わったように明るいおしゃべりになった。うるさいくらいにおしゃべりだ。私には心を開いてくれたのだと、彼女が楽しそうに喋る度に嬉しくなる。

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この2人とはたくさんの思い出がある。私がずっと行ってみたいと言っていた鳥取砂丘に、誕生日に連れて行ってくれた特別な思い出も、なんでもない日に近くのショッピングモールに集まって駄弁った思い出も、私が人生2週目を生きることになっても大切に持っていたい思い出だ。

そして、これからもきっと大切な思い出が増えていくだろう。まだ予定にはない結婚式に呼ぶだろうし、老後は同じ老人ホームに入って宙に浮く車椅子に乗ろうかな。生まれ変わって違う生き物になってもまた会いたい。そんな風に思える人に2人も出会えた私は、なんて幸運なのだろう。