若者に人気の婚活バラエティを観ていると、
「家族を大切にしている女性がいいですね」と男が語っている。
観る限り、結婚相手の条件としてこれを挙げる男は多い。そして、最後結ばれる女性も、家族愛があり、育ちが良さそうな子が多く感じる。
私はあまり家族が好きではない。「地球が滅亡する時自分ともう一人しか助からないとしたら誰を助けるか」と聞かれたら、「友達」と答える。それは小学生の時から変わっていない。
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私はもう少しで四捨五入するとアラサーの年齢に差し掛かる。周りから「結婚」の言葉を耳にすることも多くなってきた。まだまだ若いんだから、と思いながら少しばかり焦りを感じ、一年くらい前にマッチングアプリを入れてみた。
一人目、会った男は私が一年帰省してないことを話すと「帰った方がいいよ」とアドバイスしてきた。彼は家族を大切にし、自分も家族を持ちたい願望が強い人だった。二人目、会った男も20代後半にして一人暮らしをし始めたばかり。実家から一人暮らしの家賃を援助してもらっている男だった。私は大学卒業してから家賃は援助してもらっていないので、あまり理解できなかった。このくらいで私を理解してくれる人があまりいないのではないか、ということに気づき始め、マッチングアプリ生活は終わりを迎えた。
別に「好きになったら結婚相手の条件なんて関係ない」という人もいるだろう。しかし、結婚は自分だけではない。相手の家族と自分の家族とのマッチングでもある。映画やドラマ上の結婚式では当たり前のように両家が揃っている。相手のご両親は揃っているのにこちらの席は空っぽだったら、相手のご両親も拍子抜けするだろう。想像上の義両親に対して、勝手に申し訳なくなってくる。
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もちろん家庭環境が良くなくても結婚できる人なんて沢山いる。現に今のパートナーはそんなに家族というものに執着がない、私と同じ感覚の人だ。だが、この人を逃してしまったら他に同じような考えの人がいるのか、自信がない。マッチングアプリの条件の中には「家族に対する考え方」とかいう項目はない。周りにいる環境で探せれば一番いいのだが、出会いもないし。
家族から愛され、自分も愛している人を見ると純粋に羨ましい。私も人前では家族を大切にしているフリをしてしまう。好きな人の前では、聞かれてもいないのに家族で行った旅行の話や地元の愛なんかをついつい語ってしまう。職場の上司に「将来地元に帰らないの?」とか聞かれると、「あーそれは今のところ考えてないです」とか言って誤魔化してしまう。本当は二年以上家族と会っていないのに。
私も本当は「そちら側」の人間になりたい。家族、という人生と結婚の重要度が高い項目に対してのコンプレックスが激しい。自分としても「家族大好き」な人の方が性格が良く感じるし、好感度が高い。結婚相手としても選びたくなるだろう。家庭や子供を大事にしてくれそうだし。でも、私は好きになれなかった。それだけなのだ。
だから、「家族」大好きな人間が嫌いになってしまった。家族が嫌いな自分も嫌いだ。
どこかにこんな私を受け入れてくれる人はいますか?