私は欲しいと思ったものは、発売日に買いにいかないと気が済まない。どんな物でもそうだ。自分と同じ考えの人が何人もいて、きっと私が店に行った時には、もう無くなっているのではないか、という考えをもってしまう。

しかし、大半の事は発売日なので、まだまだ商品が積み上げられていたり、数人しか人がいなかったりと、無事得る事ができる。だが、そんな経験を何度も繰り返しても、発売日に何があっても買いに行く、という行為はやめられない。

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仕事中、無事定時で上がれれば、すぐに店に行けて無事に買う事ができるはず、仕事の後に用事がある場合は、このルートで行けば何時に買う事ができる、仕事後に隣町に用がある時は夕飯の時間を2、30分早めれば1本前の電車に乗れて店に寄る事ができる、と脳内でシュミレーションをしてしまう。それぐらい、欲しい!と決めたものは、得られるまで我慢できないのだ。

子どもの頃は、車酔いがひどくてお出かけが好きではなかったため、お年玉をもらっても大事に取っておいた。しかし、なぜかいつの間にかお年玉がよく0円になった。その頃は対して心から欲しい、と思える物は存在しなかったため、お年玉が0円でも特に気にしなかった。

しかし、高校に入って、姉の影響から「三月のライオン」という漫画にはまった。アニメ化が決まった時、主題歌を大好きなBUMP OF CHICKENが歌う事を知り、さらに漫画の新刊にBUMPのCDが付録で数量限定で付く事を知り、そこで初めて自分に物欲という物が生まれた。

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授業中全国の本屋さんで発売されているのか、発売しない本屋さんもあるのか、どの本屋さんなら売っているか、電車でどの駅で降りるべきか、そんな事を悶々と考えていた。実際、イオンの谷島屋に入って漫画コーナーに行くまで心臓がドキドキしっぱなしだった。

発売日だし、イオン内の本屋さんだから、よっぽどの事がない限り、売られている事は大人の今なら理解できる。しかし、当時は初めての物欲、初めて喉から手が出るほど欲しい、と願ったものだったため、初めてのおつかいや外国で注文する時並みに緊張してしまった。

結局、無事買う事が出来たCDは壊れたら嫌だという思いで、1度聴いただけで棚に飾ってしまった。しかし、アップルミュージックで何回でも聴いている。自分の意志で、欲しい物を買いに行き、一つ大人へと成長した気がしたのを覚えている。

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この経験から、物欲が生まれると何が何でも得ようとするのが癖になってしまったようだ。例えば、昨年鉄道開業150周年記念で、サッポロ黒ラベルと恵比寿ビールのおまけに、SL機関車のヘッドマークをコースターにした物が付いて販売された。それを知ったのが、インスタグラムの投稿で、投稿日は4日前だった。投稿日を見て、すでに在庫は無いかもしれない、と不安が生まれた。

その翌日、一縷の望みをかけて地元の店を何店舗か訪れたが見つける事ができず、落胆した。そのまた翌日、大きなイオンに行けばあるはずだ。という思いでイオンモールに出かけた。そこで私は運命の出会いをする。なんとSLのコースター付きのビールが私を待っていたのだ。綺麗に並べられた商品、全8種類のコースター。買うのは、SL銀河のコースターと、SL冬の湿原号だけと決めていたが、多くの商品に出会ってしまい、結局6種類のコースターを買ってしまった。

6本パックだったので、結構な痛手になってしまったが、一期一会、買わなきゃ損だと自分を納得させた。お陰で数日は毎晩夕飯のお供がビールだった。コースター達も汚れるのが嫌で袋に入ったまま、画鋲で壁に付いている。コースターが貼られた壁の前を通る度に眺めてしまう。買って良かったと思える物で本当に良かった。

物欲が生まれて喉から手が出るほど欲しいと思ったものは、自分を表す一部かもしれない。得た物で自分の性格や趣味が分かる。物は一期一会だ。これからも買える範囲で、買い物をしていきたい。