平成最後の大失恋。槇原敬之の『もう恋なんてしない』を号泣しながら歌った私の話を聞いてほしい。
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私は関西で生まれ、親も祖父母も友人も全員関西から出たことがない生粋の関西一家で育った。学生時代から沢山の恋心を抱いてきたが、いつも告白しては玉砕し、誰とも交際した事がない恋愛素人だった。
恋愛素人にも良い面はあって恋愛をテーマとした携帯小説を書き、全国2位になった過去がある。恋愛を知る機会が少女漫画に限られたことで、多くの人に純度100%のキュンキュンを届けられたことが要因だと思う。まあ、恋愛はそれほどまでに私の日常を占める大事な部分で、人生のすべてだった。
上京したのは成人してからの事で、この時初めて恋人ができた。東北出身、趣味が同じで1つ上、優しくて、魚が嫌いな彼氏だった。
鳥貴族を出たところで告白され「私にもついに春がきた!」と有頂天になったことを覚えている。
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とにかく毎日が楽しかった。初めての合鍵にわくわくした。仕事終わりの彼を待つために近くの喫茶店で時間を潰す何気ない時間が愛おしくて、そわそわした。
「大好きだよ!」と伝えると「俺も好きだよ」と肯定的な言葉が返ってくる。
好きな人と過ごすクリスマスのポケットは力強くて暖かった。
女の子なら誰もが憧れるダイヤモンドのネックレスを貰い、どこにいく時もつけていった。学生時代に出来なかった甘い思い出を沢山積み重ね、1冊のアルバムができた。
でも、幸せは永遠には続かなかった。平成31年4月22日。私は電話で振られた。「嫌いになった訳じゃないけど、これからは友達として付き合っていきたい」
突然の事だった。現実世界でよく聞くフレーズ。恋愛漫画であれば、この別れが彼女の大切さを再認識させる最大の見せ場で、必ずハッピーエンドに辿り着くのに……。
「もう一度、付き合いたい」と言った私の言葉も虚しく、枯れた。槇原敬之のもう恋なんてしないが小さな1Rの部屋で流れ続けた。
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食欲が失せてご飯が喉を通らなくなり、誰でも良いからこの苦しさを共有したくて、思わず会社の上司に「失恋しました」と報告した。可愛そうに思った上司が煎餅をくれて、業務中にも関わらず恋愛の難しさを真摯に語ってくれた。
帰宅後も1人の時間が寂しくて、柄にもなく実家や祖父母に電話した。父親は最初何事かと驚いていたが、私があまりにも号泣して話すので「辛いなぁ、父さんも若い頃は6年位付き合ってた人がおってなぁ、この人と結婚するんかなぁと思ってた。でも、あかんかった。その後、すぐ出会ったんがお母さんなんやで」と話してくれた。
「私にもあかんところあったし、相手にもあってんで。それでも辛いわぁ」と泣く私に父親は始終「わかる。わかるで」と頷いてくれた。
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祖母は私に名言をくれた。
「昔から言うやろ?バスはまた来るって」
恋愛はバスに似ている。もし駄目でもまた次のバスが来るように、自分に合う人は必ずやってくる。もしかしたら、直ぐかもしれないし、直ぐではないかもしれない。
10分ごとに来るバスがあれば、1日1本のバスがあるように人の出会いも読めないものだ。
でも、バス停にいれば必ずまたバスがやってくるように、恋愛もそういう気持ちで待つのがちょうど良い。
「だからそれまでの間は、自分磨きやと思って頑張っとったらええ人来るで」
皆の優しさが嬉しかった。
平成31年4月30日。彼はsnsに1枚の写真をアップした。女の子と楽しそうに飛んでいる写真。「平成最後にジャンプした!」と添えられたメッセージを見て、私は思わず笑ってツッコんでいた。
「もう2度と地球に降りてくるな!」
最高に迷惑で、色々な意味で笑える、私の平成最後の大失恋。