私は、高校生の頃から地元の歴史に関するボランティア活動に力を注いでいた。
大学生になってもその活動は続けており、授業がない日や、長期休みには、そのボランティア活動で全国を飛び回っていた。それだけでも十分な経験であるが、それ以上に私にとって、一生の誇りになると思っている幸運な出来事が起きた。今から遡ることちょうど3年前、大学3年の終わり頃。一生忘れられない出来事だった。

◎          ◎

私がやっていたボランティアの活動は、どうやら珍しいらしく、取材が入ることが度々あった。取材と言っても、地元新聞やテレビ局に取り上げられるくらいだが、そういうのも合間合間にこなしていた。
そんな毎日を送っていたある日、大学から連絡が来る。
話を聞くと、「今度、地元の歴史に関する特番を組むのですが、komanaさんに名指しで依頼が来ているので出てもらえませんか?」とのこと。
その時は具体的な話もよく分からなかったが、イエスマンだった私は、とりあえず二つ返事で承諾した。

後日、打ち合わせに呼ばれて、その特番の詳細はプロデューサーさんと、ディレクターさんから話を聞いた。
「特番なんですが、ある俳優さんがパーソナリティとしてやってくるので、komanaさんは彼女と対談してほしいんです」
その俳優さんというのは、ここでは名を挙げるのは伏せるが、誰もが知っている有名俳優で、私が憧れ焦がれていた大好きな方だった。
突然の出来事を受け入れられず、当日が来るまでドッキリか何かかと思っていた。

◎          ◎

いよいよ当日。彼女を目の前にした時、あまりに美しくて、目の前にいることが信じられず、思わず涙が溢れ出した。少し驚かせてしまったかもしれないが、それでも彼女は優しく微笑んでくれた。
それから特番のロケが始まる。ロケは、俳優さんが私に質問をして、私が答えるというインタビュー形式だった。今までにこういうテレビの取材は何度か受けたことがあるが、歴史の話になるため、難しい部分もあり、私と同じ熱量で語り合えるインタビュアーはいなかった。だが、彼女だけは違ったのだ。
今までの取材で聞かれなかったような角度の鋭い質問に、的を得た返し。何だか私はそれが嬉しくてたまらなかった。あまりにもお互いの話が止まらず、気がつけばロケ開始から2時間が経っていた。
こういうところが、人気俳優である所以なのかもしれない。それほど彼女の知識や気遣いに圧倒された。

そして収録の終盤、私は彼女にあることを伝えた。
「実は、○○さんに会うのは今日が初めてじゃないんです」
彼女はとても驚いた顔をしていたが、私が小学生の頃、今回の特番と同じような取材で彼女に会ったことがあったのだ。その時はその他大勢の一人だったが、握手をしてもらったことを伝えると、とても嬉しそうな顔で、「運命だね」と笑っていたのが印象的だった。

◎          ◎

収録後、スタッフの方から、「俳優さん、『またいつかどこかで、komanaさんと会うんだろうな』とお話ししていましたよ」と連絡が入った。
私はその言葉がとても嬉しかった。これからもこの活動を続けていれば、いつか彼女に会えるかもしれない。このロケで彼女に会えたことや、取材での彼女の言葉に励まされたことがたくさんあって、乗り越えられたこともあった。

きっとこの出来事は、大学時代、地道に頑張ってきたことへのご褒美かもしれないと今でも思っている。
あれからちょうど3年くらいが経ったが、今でも彼女と撮った写真やサインは宝物だし、そのロケのことを思い出すと、これからも何だって頑張れそうだ。
またいつか、彼女に会えることを願って、私はこれからもこの活動を続けていく。そして、成長した姿を必ず彼女に見せたい。