就職活動を始めた大学4年の時。とある企業で「今までの人生をグラフ化させてください」と言われたことがある。人生の好調期は高い位置に、不幸な時期は低い位置に点をつけて、その線を結べば、私の人生グラフが出来上がる。

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人に説明する以上、人生に起きたイベントを大きく評価し、点におこす。中学生の頃を一番高く、高校生の時のプチ挫折を低く書いたような気がする。一方で、客観的に私の人生を見たときに一番に感じたのは『あまり不幸のない人生だ』ということだ。

たとえば受験。本番にすこぶる弱いタイプの私は、一発勝負のテストが不安でたまらなかった。しかし、候補としていた志望校のうちの一つが内申重視であったために高校は無事に合格。大学進学はありがたいことに推薦をもらえて、いわゆるセンター試験などの一発勝負をせずに進学をすることができた。

たとえば就職。やはり本番に弱く面接は惨敗。スッと決まったわけではなかったが、ある企業の一次試験は30分での1000字のレポート作成だった。そのレポートが当時の面接官に気に入られ、トントンと最終面接へ。結果、東証一部の企業への新卒入社したという立派な肩書を得ることができたのだった。

たとえば学校生活。当時の私はいわゆる優等生ぶりたい、なんでもかんでもでしゃばりたい学生だった。何か大きな結果があるわけでもないが、声だけは大きいような人間。今振り返れば人から恨まれても、仲間はずれに遭っていても何らおかしくないような振る舞い方であったが、どこでも友人が絶えずいたのは人に恵まれていたとしか言いようがない。

他にも部活の昇級試験や資格の合否。そのほとんどでありがたいことに落ちる経験を味わうことなく生きてきた。成功体験の積み重ねは少なからず自分の自信になったし、今も好きな仕事をしながらこうして文字を起こせている。この継続した幸運の積み重ねこそ、私にとって一番の幸運だと思うのだ。

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とはいえ、そんな幸運ばかりの毎日でもない。どちらかといえば仕事は不幸体質よりらしい私は、仕事を始めてから何度「大変だね」「かわいそう」と言われたかわからない。「お祓いに行った方が良いかも」と転職した2社連続で同僚から言われた時は流石に堪えたものである。しかし、人がとびきりにいい会社。しばらく辞めたくないと思える会社に入れたことも、私にとって幸運の一つには変わりないのだ。

そんな風に不幸を積み重ねているからこそ、私自身は今ある幸せを噛み締めるようになったし、これからもまだまだ幸運があると信じている。すぐ相対的な評価をしてしまう私であるが、人生全体を総合値で見るならば、そこまで悪い人生ではない…と思う。

私の人生最高潮はきっとまだで、今後さらに幸運が待っている。そう信じられるからこそ、今目の前にある小さな不幸にも立ち向かうことができている。『毎日の不幸の積み重ねが私の幸運への一歩』これを世では「徳を積む」なんていうのかもしれない。