私の小学生の時の夢は、漫画家とパティシエになることだった。
しかし小学生の時点で、現実を思い知ってしまった。当時の同級生であり、友達でもあった女の子の絵は小学生が描いたとは思えない、本当に美しく綺麗な絵だった。
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人物や花や木を絵で表現することは、私にとって何時間もかかることだけれど、彼女にとってはまったく苦にならないようだった。
彼女は絵が好きでたまらないとよく言っていた。
さらに、絵を描くことでいろんな表現ができると言っていたのを聞いた瞬間に、
「ああ、この世には天才と呼ばれる人がいて、私が描くよりも才能がある人たちが描いたほうがいいんだな」と子供ながらに思った。
そんな彼女は、絵のコンクールで何度も賞を受賞していた。正直に言うと、とてもうらやましかった。だけど、同時に彼女は私の憧れでもあった。
彼女を見ていると、漫画を描くには漫画を描く気力、相応の努力と、絵のうまさが必要なんだと気づいてしまった。それに漫画を読むのは好きだけど、漫画を描くことは好きなのかと自分自身に疑問に思った。私は早くも漫画家という夢は諦めることにした。子供だけれど、なんとなく才能の違いを感じてしまった。
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漫画家になることを諦めた私は、次にパティシエになろうと決意した。
お菓子を作ることは好きだったし、なによりケーキ屋さんのキラキラ輝くようなケーキがたくさん詰まったショーケースをみると心が踊った。
姉に教えてもらいながら、ケーキを作ったり、クッキーを作る日が何日か続いた。
図書館に行ってお菓子の作り方の本を何度も借りて、ゼリーを作ったりもした。
しかし私は気づいた。パティシエってめちゃくちゃ体力がいる仕事なのではないかと。
ある本で、パティシエの一日という一日どれくらい働くのかや、毎日のルーティーンなどが書かれた本を読んだ。
そこには、パティシエは華やかな職業に見える一方で、小麦粉を運んだり、力仕事もあると書いてあった。
毎日ケーキを作ることは、生地を混ぜる工程もあるので、混ぜるときに筋力が必然的につくとも書いてあった。
私は力には自信もなく、毎日ケーキを作れるのかと現実的なことを考えてしまった。
そして、結果としては私はパティシエには向かないなと自分で判断してしまった。
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小学生の時の自分に言ってあげたい。
「現実を見すぎて夢を見れないじゃない、子供ながらに考えすぎだよ。自分の可能性を自分で狭くしてしまうことは、良くないと思うよ。
いろんな経験をしていくなかで、夢が見つかることもある。失敗したり、落ち込むことがあっても、次からそうならないように自分で考えるチャンスになったと思えば、心が楽になるよ」
子供の時の自分がそれを聞いてどう思うかは想像ができないけれど、今こう考えることができるのは、それまでにいろんな経験や失敗、自分にどんな仕事が合うのかを見つけれたことが大きい。叶えたい夢もできて、それに向かって前向きに進んでいきたい。
27歳になった私の夢は小説やエッセイを書くことを仕事にすることと、いつかイギリスに行くことだ。
イギリスがなぜ行きたいところの候補地になったかというと、ずばりハリーポッターだ。
私はハリーポッターの映画が大好きで、いつか本場のスタジオツアーに行ってみたいから。日本にも東京のとしまえんという遊園地の跡地に、ハリーポッターの東京スタジオツアーができたけれど、本場の空気に触れたい。
それに、イギリスのフィッシュアンドチップスという料理や、スコーンと紅茶で本場のアフタヌーンティーを味わいたい。
英語が飛び交う街の雰囲気や、地元で暮らす人々の様子をみたい。
この夢叶うかなと小学生の自分に聞いたら、難しいんじゃないと言われそうだけど、
夢を必ず実現してみせると心に誓ったから、きっと大丈夫。