2017年、留学中の3ヶ月間の長い夏休み。
私はテキサスに偶然ホストファミリーを見つけることができて、日本への一時帰国を間逃れた。

◎          ◎

3ヶ月間の長い夏休み、私は大学の寮から出なければならなかった。
そうは言っても私には行き先がなく、3ヶ月間ずっと旅行するお金も、日本に一時帰国する大金もなく、夏休みが始まる1ヶ月前までピンチの状況だった。
そんな中、同じ状況の留学仲間に提案されたのが、カウチサーフィンだった。

カウチサーフィンとは、他人の家に無償で宿泊させてもらう代わりに、その家庭の育児や家事を手伝いボランティアをするというものだ。
サイトを使ってホストファミリーを探していると、すぐにテキサスに住んでいるある家庭と連絡が取れた。
ドキドキ・ワクワク楽しみな期待と不安な気持ちが入り混ざる中、私はその家族とスカイプで初めて対話することになった。

◎          ◎

ホストファミリーのお母さんに、私が今留学中で夏休みの間の行き場がないこと、子どもが好きで姉弟や幼い従兄弟の面倒を見たことがあること、料理・洗濯・掃除は一通り自身の一人暮らし経験を通して慣れていることを話すと、すぐに打ち解けた。
ホストファミリーのお父さんもお母さんもイギリス出身で、今は仕事でテキサスにいることを話してくれた。

そしてその場で、「いつから来れるの?」と、温かく私を迎え入れてくれたのだ。
私は、「1ヶ月後からの夏休みの3ヶ月間、ステイしてもいいですか?」と、約束を交わした。

夏休みが始まったその日、私は朝早くに寮を出て、午後の便でテキサス・サンアントニオに向かった。
サンアントニオ国際空港に着くと、ホストファミリー家族みんなで車で迎えに来てくれた。
ホストファミリーの家族構成は、ランニングの好きなお父さん・美人なお母さん・7歳の長女・5歳の長男・3歳の次男だった。
車に乗り込むとすぐに、長女がお揃いのネックレスをブレゼントしてくれた。
そして家に着くと、子どもたちがお家の中を紹介してくれた。
すごく賑やかな家庭で、自分も3人姉弟だからか余計に幼い頃の自分の姿に自然と合わせてしまっていた。

◎          ◎

平日子どもたちが学校から帰ってくると一緒に部屋で遊んだり、プールで泳ぐ練習をしたり、夕飯作りのお手伝いをした。
土日は自由時間で近くを観光したり、毎週日曜の朝は家族と一緒に教会に通ったりもした。
ピンチから始まった3ヶ月の夏休みは、家族の温かみを肌身で感じたり、子育ての予習となったり、子どもたちの成長を日々感じる貴重な時間となった。

あっという間の3ヶ月が終わり、ホストファミリーと過ごす最後の日がやってきた。
21歳の誕生日を明日に控えた私のために、モールに行ってランニングシューズをプレゼントしてくれた後、レストランに連れて来てくれた。

子どもたちは似顔絵をそれぞれプレゼントしてくれた。
忘れられない3ヶ月を、忘れられない1日を、プレゼントしてくれた。
そんなホストファミリーとは今でも定期的に連絡を取り合う仲になって、私の中で第二の家族の存在になっていた。
ピンチから始まった夏休みは、人生で忘れることのないチャンスとなり想い出となった。