私の学生時代は痛かった。思い出すだけで恥ずかしい。でも楽しかったこともあったはずなのに、思い出す度暗くなるのはもうやめたい。
そろそろ笑い話にしたい。

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私は何をやっても中途半端。自分に自信がなかった。いろんな習い事をさせてもらったけど、レベルは全部普通。ピアノしかり、水泳しかり、英語しかり...。何をやっても一位を取れない自分が嫌だった。おまけに顔も普通。自己肯定感という言葉を知ったころには、自分が自己肯定感が低いことを知る。

それだけならまだ良かった。立ちが悪いことに、自己評価は高かった。自分はまだできる。自分ができないはずなんてない。プライドは一丁前に高く、常に人と比べていたし、周囲の評価にも敏感だった。馬鹿にされたら手が震えるほど腹が立った。

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例えば、吹奏楽部のときのこと。認めたくはなかったが、私はセンスがなかった。だからこそ練習は誰よりもした。自由参加の朝練も必ず参加した。部活仲間から「すごい努力家だよね」ってよく言われた。でも当時の私はすべてを裏目に取るひねくれもので、その言葉のあとに続く「なのに」の先を深読みしていた。私には「すごい努力家だよね、『なのに』下手だよね」と聞こえた。

実際に「下手だよね」と言われたこともある。明るくノリのいい子だし、軽い気持ちで言ったのは分かる。笑顔で「知ってるよー」と返したけど、本気で腹が立っていた。何も知らないくせに!私はまだできるのに!って。

そんな見栄っ張りは日常会話でも。「え、知らないの?」って言われるのが嫌で、よく知ったかぶりをしていた。なめられたくなくて嘘をつくこともしょっちゅう。周囲からの評価を自己評価に近づける、もしくはそれ以上にするため、常日頃から気を張っていた。

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それから大学に進学。お決まりのごとく、向いてないアルバイト、向いてないサークルに入ってしまって、同じようにきつかった。
でも私と違って、毎日を楽しく過ごしている大学生にたくさん出会った。私もそうなりたい!と憧れて、彼らを分析してみた。私が思う、彼らの共通点は次の7つ。

①やりたいことをやること
②頑張りすぎないこと
③自分の得意不得意を見極めること
④やめることを恐れないこと
⑤自分に期待も失望もしないこと
⑥周りの評価を気にしないこと
⑦自分を好きでいること

まずアルバイトやサークルをやめた。
その後、身の程にあった仕事やコミュニティを選んだ。

私はすべてのことにおいてセンスがない。でも好きなこと、譲れないこと、やりたいことはある。それで十分じゃないか。

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昔は、自信がなくて、自己肯定感も低いのに、自己評価が高かった。周りに殺気だって、自分で自分を苦しめて、痛い人間だった。

今は、自分の力量の限度を理解して、わきまえるようになり、自然と自己評価が低くなった。相変わらず自信はないけど、そんな自分もまるごと愛せるようになって、自己肯定感が上がった。身の程に合わないことはやらないし、好きなことを好きなだけ自由にしている。もちろん仕事では、向いてないことや身の程以上のことをやらなくてはいけないときもある。そんなときは自分の「得意」で「不得意」をカバーできるよう工夫している(はず)。

こう考えられるようになったのは、痛かった幼い私のおかげかな。自分に合わないことや不得意なことに、馬鹿みたいに真剣になって良かった。おかげで今では毎日が楽しい。

ありがとう、昔の自分。あなたの苦労がやっと報われたよ。