中学生の頃、将来の夢という題で、人生設計を書く授業があった。
意気揚々と思い描いた私の人生は、こんな感じだった。
・志望高校に入学
・高校生の間に留学
・某有名大学へ行く
・大学院に進学
・翻訳家になる
・25歳で結婚。ただし、苗字は珍しい人。
・26歳で1人目出産
・28歳で2人目出産
・30歳でマイホーム
・60歳で退職と同時に海外移住
我ながら、すごい人生設計だ。
苗字に関しては、地元の道を歩けば10人に1人はその苗字だった。
だから特別感がなくて嫌だった、というどうしようもなくしょうもない理由だ。
◎ ◎
今、29歳の私。
叶えたのは、志望高校に入学、だけだ。
留学もしたが、高校生ではなく、大学生になってからのお話し。
それも大学への留学ではなく、大学を休学してワーキングホリデーという半ば逃げの一手。
大学院への進学は、あきらめた。
留学の夢とどちらかの選択を迫られたので、留学を取ったまでだ。
翻訳家になるどころか、理系進学だし、男性社会最前線で働いている。
それに23歳で病気は患うし、
25歳なんて、大学から付き合っていた彼氏と別れた頃だし、
28歳なんて、大好きだった彼氏と別れた直後で人生のどん底だった。
中学生の自分、人生設計がちょっと無謀すぎるよ。
でも私、今の人生けっこう好きなんだよね。
◎ ◎
29歳の私が考える新しい人生設計は、こうだ。
・31歳までに結婚式をする。
・35歳までにマスターズ大会に出る。
・40歳までにお店を持つ。できたら、お店兼自宅。
・もう一度大学生をする。勉強する。
・老後は、海外移住。
中学生の私へ。
結婚、できたよ。
苗字は珍しいかは微妙だけど、旧姓よりは珍しいから許してね?
でも29年間愛用した苗字を離れる寂しさはすごかったんだよ。
自分が自分でなくなる感覚がしてしまって、結婚前後は泣いた時もあって旦那さんを困らせた。
結婚する直前までどうするか、すごく悩んだんだよ。
あんなに嫌だったはずなのにね。
結局、公的書類でも旧姓併記ができることを知って、旧姓併記にしてからは心は軽い。
ただの手続き上の話なんだけれど、国からどっちもあなたですよ、って認めてもらえた気分になれた。
今は、旧姓と新姓、2人の自分と一緒に歩んでる感覚がして、とても楽しいよ。
旦那さんはね、とても穏やかな人だから安心して。
たくさんの恋をして、酸いも甘いも経験して、たどり着いた素敵な旦那さんだよ。
とても優しくて、甘やかすのが上手な旦那さんだから、そのままの私で大丈夫だよ。
◎ ◎
ただ、中学生の自分に胸を張れない唯一の後悔がある。
それは、大学院へ進学しなかったことだ。
大学生になってから、研究職に就きたいと思ったけれど、自分で自分の限界を決めつけて研究職を諦めた。
最近、私は自分のお店を持つことを夢見ている。
だから、そのために学び直しとして、もう一度大学に通おうと思う。
別に学び直さなくてもお店は開ける。
でも、学びたいと思った自分の気持ちに蓋をするのは、やめた。
そして今、新しい夢がもうひとつできた。
中学生の私に胸を張ってこう伝えることだ。
「思い描いていた人生とは全く違うけれど、後悔してないよ」