予定がない休日。私にとって史上最悪の1日は、定期的にやってくる。

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そんな日の朝はまず、日課のヨガと軽いランニングにとりかかる。体を動かしながら、スケジュールを考える。カフェで読書する、新しくできた街のパン屋に行く、電車で都会のショッピングモールに出かけて買い物する…やりたいことを思いつくままに挙げ、家事を一通り終えると実行する。気付けば、慌ただしい1日があっという間に終わっている。疲れていて、本当は何もしたくない時もある。だけど、何かしなければ自己嫌悪に陥ってしまう。空白の時間があると不安になってしまうから、用をつくる。なんて面倒なヤツだ。
家族や友達、同僚と過ごすのは好きだし、自分から遊びに誘ってスケジュールを立てるにもかかわらず、人と行動する予定はちょっぴり苦手。約束に合わせて時間を調整しないといけなかったり、思いがけず長時間を費やしてしまい予定が狂ったり、何かと不都合が生じる。約束する時、集合と解散時間を合わせて決めてしまうなんてしばしば。有意義な休日にしようと、毎週末躍起だ。

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こんな自分中心の生活、独身だからできた。2年前の結婚を境に、一転した。せっかくの休みは一緒に過ごしたいという旦那の思いを尊重し、週末の予定は相談して決めるようになった。とはいえ、旦那は私と正反対で、何もない日は史上最高の1日。ずっと家にいられるのが幸せだという。

そんなふたりの結婚生活が、最初からうまくいくはずがなかった。平日、家事をしながら遠距離通勤している私は、遅くとも午前5時には目覚める。日課の運動に掃除、洗濯とやるべきことを済ませても、8時ごろには手が空いてしまう。一方の旦那は、8時を過ぎてもぐっすり眠っている。

何時に起きるのか、何をするのか、尋ねればいいのだが、毎晩帰りが22時以降というのもあって起こすのは気が引けた。適当に暇をつぶして待機するものの、しびれを切らして9時過ぎ、寝室のドアを開け、もやもやと溜め込んだ思いを「きょうはどうするの」の一言に乗せる。返ってくるのはたいてい「何でもいいよ」だった。なら、別々に過ごせばいいじゃないか。私はやりたいことがたくさんあるのに。つい、不機嫌な態度をとってしまい、喧嘩して夫婦史上、最悪の1日になるのが常だった。

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「何もしなくても、一緒にいるだけでいいだろう」。旦那の見解は最もだし、考えを改めた。家族ってそういうものだ。何より、人生で何度もやってくる休日すべてを充実させるなんて無理だ。疲れて仕方ない。何もしないことに慣れようとしたが、自分の習慣はそう簡単に変えられなかった。人と生活する結婚に向いていないのかもしれない。先が思いやられた。「休みの日は9時までに起きる」「予定は前日までに決める」。ぶつかる度、同じ言い合いを繰り返さないよう2人の決め事をする作業を繰り返してきた。
結婚して丸2年を迎えようとする頃、ようやく改善の兆しが見えた。根本的な解決策は意外にも単純だった。「きょうは午前中、カフェで本が読みたい」。思い切って伝えると、「いいよ」。旦那の返事は、案外あっさりしていた。

私は、勝手に気遣いすぎていた。夫婦だから、いつも何でも合わせなければいけないわけじゃない。自分の時間を持つのも必要だし、長い人生をともに歩むからこそ、相手を尊重する姿勢が大切なのだ。無理はしない。時間をかけて、ふたりにとって気持ちのいい夫婦生活をつくっていけば、お互いにとって史上最高の1日が過ごせるようになるはずだ。