先日、かがみよかがみのリアルイベントで東京へ行った時のこと。
イベントの前に私は国立新美術館へと足を運んだ。

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目的は、国立新美術館で開催中の「ルーヴル美術館展 愛を描く」という企画展を見に行くため。
この企画展は、パリにあるルーヴル美術館が世界に誇る数々の絵画の中から誰かに恋焦がれる気持ちや、燃え上がるような情熱、独占欲や愛するが故の苦悩など、「愛」にまつわる名画が73点展示されるというものだった。

リアルイベントの参加が私の一番の目的だったけど、「東京に行くと決めたからにはここにも絶対に行きたい!」と、当日までルーヴル美術館展のホームページやSNSをずっと眺めていた。特集番組もしっかりと視聴して予習もしたし、事前準備は万端だ。

乃木坂駅に降りた私は、美術館へ続くエスカレーターに乗った。
白塗りの壁が印象的なエスカレーターで上へ昇るほどに私の心もふわふわ昇っていく。
国立新美術館の透明な自動ドアを人生で初めて通り、「いよいよだ」と胸が高鳴る。

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当日券と音声ガイドを購入し、一人で静かに会場内に足を踏み入れた。
こんなに人がいたの?!と思うほどに、会場内はこの企画展を見に来たお客さんでいっぱいだった。少しばかりざわざわしているものの、音声ガイドのヘッドホンをしてしまえばほとんど気にならない。一人でルーヴル美術館展の世界へ入り込んでいく。

満島ひかりさんと森川智之さんの心地よい音声ガイドを聞きながらじっくりと解説を読み、絵画の細部まで鑑賞して回る。
作品を間近で見ると油絵具の凹凸があったり、作者の意図であえて描いているのか分からないくらい淡く書いてその存在をぼかしていたりする部分があったり、直接足を運んで見に来たからこそ分かる箇所がいくつもあった。

ホームページで予習していた作品も音声ガイドを聞き、解説を読んだ後に改めて鑑賞すると受けた印象が全く異なるものがあったり、解説を読んだから描かれている人物の表情が険しかった理由が分かったり、予習をしていたけどたくさんの新しい驚きがあった。

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何百年も前なのに、ハートマークってこの時代にはすでにあったんだなぁとか
この女性が着ている服、昔の時代のもののはずなのにシア―素材でかわいいなとか
そんな何気ないことも約300年前の作品たちを通して私は感じた。

テーマが「愛」だったから「この絵の中の人、なんで怒ってるだろうね」と、ひそひそ話す若いカップルがいたり、手を繋ぎながらのんびりと歩いている老夫婦が居たり。小学生くらいの男の子が「お母さん、この絵ってどんな意味?」と聞いていたり、私と同じように一人でじっくりと作品と向き合っている人がいたり。この会場全体含めて「愛」だなあ、と会場にいるだけで私までほほえましい気持ちになった。

「愛」って色々な形があると、作品を通じて改めて思った。
相手を想い慕って焦がれるような愛だったり、燃え上がるような情熱的な愛。
止められない背徳的な愛。家族を慈しむ愛。絶対的な信頼のもとに生まれる愛。
自分だけのものとして独占したくなる愛。失った時の苦しみや絶望が分かっている愛。

ちょうど、自分の信じていたその形が揺らいでいた時期だったから様々な形の愛の作品を目にすることができて「色んな形があるし、それでいいんだな」と思え、とても満ちた時間だった。

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やっぱり、私は美術館に行くのが好きだ。
直接そこへ足を運んで間近で作品を目にしたり、会場の空気を感じたりすることで、何百年・何千年も前の時代へタイムトラベルできたような気分になれるし、その当時の作者たちも今の私たちと同じような悩みや喜びを日々感じながら作品を作り上げていたのかなと、作者の意図や思いを直接感じることができる気がする。

美術館に足を一歩踏み入れるだけで普段の日常とも距離を置けるし、作られた作品の世界やその当時の時代に溶け込むこともできる。一人でのんびり鑑賞するのも自分のペースでその世界へと入り込むことができるし、誰かと一緒に回って感想をお互いに共有し合うのも色んな見方があるんだなと、新しい発見にもつながるし、どちらも楽しくて私は好きだ。

美術展巡りをしたことがない方や静かな場所ってあまり得意じゃないな、と思っている方こそ行ってもらえたらいいなと思う。もし、気になる企画展や今まで何となく気にはなっていたものの躊躇していた場所があれば、きっと新しい世界に踏み込めると思うからぜひ行ってみてほしい。美術展巡りはおすすめだ。

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グッズ売り場では、何度も見に戻ったお気に入りの作品のポストカードや自分の好きなキャラクターとコラボしたマスコットも購入できた。素敵な作品が本当に多くて、購入予定のなかった図録も思わず購入してしまった。散財したけど、いいのいいの。ルーヴル美術館展のずっしりとした図録を大切にリュックへしまい、背中も心もずっしりとした充足感で満たされた。
次はどんな美術展に行ってみようかな。情報収集をしながら次回の美術展巡りに備えてじっくり、ゆっくりと楽しみながら計画を立てようと思う。