私は浮気や不倫に対して、人には理解され難い持論がある。
それは浮気も不倫も「されて当たり前」だと認識しており、「されないことが凄い」と思っていることだ。男でも女でもされない魅力があり行動している人が凄いのだと。

だから恋愛において、付き合っている恋人がもしも浮気をしたとしても、責めることはない。だって私よりもその子に魅力を感じたのなら、それは私の魅力不足が原因であり、何がいけなかったのか・何を直せばよいのか。反省して改善すべきことだと思うからだ。

浮気や不倫を「された」側は多くの人がまるで被害者のように振る舞うけれど、浮気や不倫を「させた」加害者でもあると思うのだ。

もちろん、必ずしもこの限りではない。これから書くのはそんな話だ。

理性は白旗を上げた。だって、浮気は「された側」が悪いって思うから

その人は職場の上司で、はっきり言って一目惚れだった。
見た目も声も雰囲気も匂いも好きで、理想がそのまま出てきたような人だった。
「この人に私のことを好きになってほしい!!」
そう思い、左手の薬指が銀色に光っていたのは見えないフリをした。
彼女になりたいとか妻になりたいとか、そんな気持ちは一切なく。毎日、毎日、溢れだす「好き」をそのまま伝えていた。
ただただ好きであることを伝え続けていたそんなある日のこと。

彼からホテルに誘われた。
頭に衝撃が走る。新婚でこれから結婚式も控えている人だったから、まさかの展開だった。
少しの葛藤後、理性は白旗を振り感情のままに彼と過ごすようになった。

先にも書いた通り、浮気はされる側に改善点があると思っている。
私を誘いたくなる程度には妻に思うところがあったのだろうし、実際そういう話も聞いていた。聞けば聞くほど、それなら浮気もしたくなるだろうと合点が行く内容でしかなかった。

彼に最初に確認したこと。それは、子供のこと。無責任だけは許せない

さて、ここからが理解され難い持論なのだが、彼には最初に一つだけ確認していたことがある。
それは「子供がいるかどうか」だ。

女性の身体は、妊娠をすれば今までとはホルモンバランスが全く別物になる。
その影響で、パートナーへの態度が変わってしまうことがある。
それはその女性が悪いのではなく、生物として仕方がないことだ。

妊娠して、子供が生まれて、妻が変わった。なんてぼやきを男性から聞くことがあるけれど
それは当たり前のことだし、子供を持つってつまりそういうことだし。
まぁ100歩譲って事前に知らなかったというのは仕方がないとしても、目の当たりにしたときに、嫌気がさして別の女性のところに行くなんて。そんな無責任なことをするなら、子供を持つ資格はないだろうと思っている。

妊娠できる身体を保有しているのが偶々女性だけというだけで、妊娠・出産は女性だけが責任を持つものではない。
男性の子種と女性の肉体によって子供は生まれてくるのに、子種を出した瞬間から他人事になるなんてあまりにも無責任だ。

知った時にはもう遅かった。「加害者」になってしまったのだ

さて、話が長くなってしまったが、要するに私の持論は、女性においては通常の肉体を保有している状態でされる浮気は「された側」に問題があり、妊娠している際にされる浮気は「する側」に問題があるということだ。
そしてその際においては、不倫をしている側の女性も加害者だと思う。
頭を空っぽにして、恋だ何だと言うのは同じ女性として如何なものかと思うのだ。

そう、すでに勘の良い方はお気づきだろうが、私は自分が一番避けたいと思っていた形で、加害者になっていたのだ。
同僚からその話を聞き、頭のてっぺんから血の気が引いていった感覚を今でも忘れられない。

再三にわたり考えや思いを伝えていたのは、いつかこの関係を終わりにするつもりだったからで、相手もそのつもりだと聞いていた。
その時は家族のために生きると言う彼に、そうしてほしいと、何度も何度も話していたはずだったのに。
私が話を聞いたのは、出産を1ヶ月前に控えたときだった。しかも、人づてに。

私達は2年間逢瀬を重ね、仕事においても良い関係だった。今の関係がなくなっても、フラットな仕事仲間に戻ろうと話をしていたくらいだったから、恋以上の何かをお互いに感じていると、私は自惚れていた。
…相手にとって、私は良い様に使えるただの穴だったのに。

まぁそうだよな、と思った。
同時にこの2年間はなんだったんだ、とも。矛盾した思いに苛まれた。

それでも私の持論は変わらない。ただ、どうか謝らせてください

辞表を出したのは次の日だ。
たかが口約束、されど口約束。一番しないでほしいと伝えていた裏切りをしておいて、何がフラットな仕事仲間だ。

「情報を提示しないということは、選択をさせないということです。」
「好きになってしまって、離れてほしくなかったんだ。」

その言葉の真意がどうあれ、もうどうでもよい。
目の前にある真実は「妊娠中の妻がいることを隠す無責任な男」でしかない。

このことを経ても、私の持論は変わらない。
これからも、好きになったら伝えるし、浮気をされたら反省する。

けれど、この場を借りて謝らせてください。
奥様、あなたが命を育んでいるときに、このようなことをしてしまいごめんなさい。
意図的ではないとしても、私は加害者です。
償いにはならないかもしれないけれど、せめて遠くに消えますのでどうか幸せに過ごしてください。

私の願いはそれだけです。