Alin Szewczyk。

ポーランド人のモデル兼俳優。ノンバイナリー。オランダ在住。身長180㎝。目の色はブラウン。髪色はライトブラウン。ウエストは60。ヒップは85。靴のサイズは39。PRADAやVALENTINO、LOEWEなどといったブランドのファッションショーに数多く出演。2017年に映画「Once Upon a Time in November」に出演し、2023年には映画「Fanfic」の主演を務める。

以上が、昨日の夕方3時頃から今これを書いている次の日の朝9時半までに私が得た彼についての情報だ。

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一目惚れだった。
昨日の夕方3時頃、パソコンでNetflixを開くと画面に大きく彼の顔が映った。
「Fanfic」がおすすめに出てきたのだ。
彼の大きな瞳に吸い込まれるように私は再生ボタンを押した。

終始彼の全ては美しかった。
大きな瞳、筋の通った鼻、誰よりも身長が高く、スタイルは抜群に良くて、笑った時には大きな口が綺麗に横に伸びる。
映画の内容はもちろん良かったのだが、なにより彼の美しさに魅了された。その日のうちに2回も映画を観るほどに。

同時に私は自分自身と向き合うことになる。

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誰かに一目惚れ、というか、誰かに憧れた時はいつもそうだ。
小さく少し吊った瞳、小さな丸い鼻、身長は150㎝程度と低く、丸い胸と丸いお尻のスタイル、笑った時には丸い顔がさらに丸くなる。

私は彼とは正反対なのだ。

だから一目惚れしたのかもしれない。彼は私が持っていないものを持っているし、私がどれだけダイエットを頑張ったとしても彼のようにはなれないのは明らかだし。

と考えていると、自分が外見至上主義者だということに気づいて悲しくなる。確かに外見は重要だと思うが、外見至上主義者にはなりたくない。

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では、彼が美しいのは外見だけ?

そうじゃない。まだ彼について沢山知っているわけではないが(なぜなら、彼についての情報がネット上にあまり無いうえに、私はポーランド語が読めず翻訳機能は拙いため)、おそらく彼は数々の努力を積み重ねてきたし、現在も積み重ね続けている。

勝手な想像だが、例えば、モデルや俳優の仕事を決意するために、「Fanfic」を撮影するために、数々のファッションショーに出演するために、母国ポーランドを離れオランダへ引っ越すために、彼は様々な事について考え、行動し、努力してきたのだろう。

彼の美しさは、私にそう想像させた。

すなわち、彼の美しさは芸術である。芸術とは、いろんなことを豊かに想像することができて云々、といった内容の論文を昔教科書で読んだことがある気がする。 

しかし、彼だけがこの世で美しいわけではない。私は、自分自身を愛し、自分らしさと素直に向き合い、自分を含む誰かのために努力でき、自分と誰かを許せる人は皆美しいと思う。

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ここまで考えを巡らせると、私は私を愛していないのか?という疑問が生まれる。

いや、私は私が結構好きだ。小さく少し吊った目は猫みたいでお気に入りだし、低い身長にはアイデンティティを感じているし、丸い胸と丸いお尻を強調させているのは自慢のウエストだし、私だっていろんな事を考え、自分について努力をしている。

私は、自分の美しさを改めて肯定することになる。
誰かに一目惚れ、というか、誰かに憧れた時はいつもそうだ。
そうするには少し勇気が必要だが、自分を肯定できるとちょっとだけ自分を取り巻く世界が明るくなる。

私は彼にはなれないが、彼も私にはなれない。

けど、私は彼に一目惚れした。
では、誰が私に一目惚れできるのだろう。そしてその理由は?

結局、一目惚れとは外見が重要なのかもしれない。外見至上主義万歳?
いや、最も重要なのは、自信を持つことだ。

どれだけ顔が整っているのか、とか、どれだけオシャレなのか、とかは関係ない。

きっと、内面から滲み出る自信が外見の美しさに繋がるのだ。
そしてそれに一目惚れをする。

 一目惚れについてはこのような結論に至ったが、次に私は自分の自信について考えを巡らせることになる。