私のロールモデルは、中学の頃に出会った英語の先生だ。卒業からもう十年以上経っているのに、私は何か壁にぶつかった時や困難を乗り越えようとするときに、何度も何度も彼女のことを思い出してきた。思い出すその姿は、キラキラとした笑顔で英語をぺらぺらと話すときの姿だったり。円滑にALTの先生と英語で雑談をしている些細な姿だったり。時には忙しそうに髪を振り乱しながら廊下を走りまわる後ろ姿が多く思い浮かぶ。それくらい、私にとってずっと憧れであったし、「こうなりたい」と思える目標のような存在だった。

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先生のすごいところは、決して疲れた顔を人に見せないことだった。そして、自分に自信を持っていることも、その話し方、身振り手振りすべてから感じられた。そして、やりたいと思うことを成し遂げてきたのであろう、授業の中でたまに聞ける学生時代のエピソードが私はとても好きだった。

だけど、私たちが中学を卒業してから数年後、先生は教師を退職したと風のうわさで知った。どうして?あんなに英語を幸せそうに教えている先生だったのに。中学の頃からの夢で先生になったって教えてくれたのに。私は友人の弟を通じて、先生がオーストラリアに行ったという情報を聞きつけた。結婚?ワーホリ?いろいろな想像が巡って、きっと先生なりに考えて決断したのだろうと思ったし、その先で後悔なんて全くしていない先生の姿が思い浮かんだ。

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それから数年後、成人式の日が来て、もしかしたら先生も来ているかもしれないと浅はかな期待をした。けれど、先生はやっぱり来ていなかった。どうかもう一度だけ会いたいという思いで、一か八か手紙を持って行ったのに…。だけれど、その手紙を言付かってくれた他の先生がいて、私のもとに数日後、手紙の返事が届いた。

そこには、私が中学を卒業してからどんなことがあったのか、心境の変化や、やはりオーストラリアに行ったことが書かれていた。だけど、今は地元に帰ってきているという嬉しいお知らせ付きで、私たちは数日後に会うことになった。

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先生と再会したのは私が大学二年の時で、卒業してからたくさんの月日が流れていたというのに、あの日々のことをたくさん本音で語り合えてとても楽しかった。当時私から見た先生はキラキラしていたけれど、本当はとても忙しい日々だということも教えてくれた。土日も部活の顧問をしていたから、休みも全然なくて身も心もとても疲れていたという裏話をたくさん聞いた。私たちが卒業してから先生なりに考えた退職という決断や、オーストラリアでの生活。そこでの困難などたくさんの話を聞いた。

彼女はいつも前に進んでいる人だと感じた。せっかく生まれてきたのだから、やりたいことをやろうという強い意志を感じた。

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私が社会人になって、今までとは想像を絶するほどの困難にたびたびであった時、もう一度先生のことを思い出した。ふと検索をかけると、本を出版していることを知った。何だか彼女なら、今も何かに挑戦していそうだなという思いで検索なんてしてみたけれど、ドンピシャリだった。

そこでは退職に至った経緯、心境の変化、オーストリアに行くまでの過程、旅先での困難、そんな私がもっと知りたかったことが凝縮されていて、時々泣きながら一日で読んだ。

そんな彼女に影響されてか、私は常に自分のやりたいことをどのように前に進んだら実現できるか考えて行動していこうと決めた。失敗を恐れずにまずはやってみるという強い意志は、彼女から学んだことだ。今はつらいと思うことも、かならずどこかで活きていくことだと思うし、私が感じた困難は誰かの背中を押すきっかけになるかもしれない。

そんな思いで、小説をこのようなサイトで応募することも初めて見た。誰が読んでくれているのかわからないけれど、誰かの背中を少しでも押せるようなエッセイが書きたいと思っている。私も少しずつ前に進むし、やりたいことをたくさんやっていこうと思う。