私はこの夏、決めていることが一つある。
それは日本株を新たに購入するということである。

証券口座を開設して、日本株の購入と投資信託を始めてから半年以上が経過した。現時点での成績は3万円くらいのプラスだ。

◎          ◎

新卒の頃からずっと金融業界で仕事をしているおかげで周囲の同級生より金融リテラシーはあるほうかもしれない。この業界で働いているからか、時々友人から相談を持ち掛けられることもあるのだけど、ギャンブル等で作った借金を何十万円も抱えていたり、その借金のせいで融資やクレジットカードの審査に落ちてしまっていたり、私の想像を超える内容も時々ある。こんな同級生の話を聞いているから余計に自分の金銭感覚はどちらかというとしっかりしている方かもしれないなと思うし、財布の紐も結構固くて倹約家な方だと思う。

この業界で仕事を続け、様々な方々と接して私が思うことは、「知識の格差が貧富の格差に繋がっている」ということだ。年金2000万円問題やiDeCoなど、世間では毎日たくさんの金融ニュースが世界を賑わせている。その内容を知り、理解しようと努めている人はふるさと納税や積立NISAなどの制度を活用して節税や資産形成に取り組んだり、クレジットカードの利用で得られたポイントを日用品費に充てたりして、賢く資産を増やしながら支出も減らしているように思う。

◎          ◎

その一方で内容を知らない人は投資をギャンブルだと解釈して、そこから先を調べようとする人は少ない。調べてみるだけで多くの公的な節税の機会があったり、食費などの生活を送る上での必要不可欠な支出を減らす方法もいくつもあったりするというのに、それを知ろうともせず「お金が無い」と嘆いている人が多いように思う。

私の家庭ではいつも「お金が無い」と両親は言っていた。「お金が無い」ことを知っていたから色んな事を我慢して、いつだって顔色を窺いながら生活してきた。「お金が無い」ことで多くの夢を諦めて、子供だった私は大人になった。

でも、大人になってお金と関わる業界で仕事を始めたことで「お金がない」ことをただ嘆き、そこから何もアクションを起こさなかった両親がいたからその状況はずっと変わらなかったのだと気付いた。実際に私が就職してから学んだ金融知識を活かして、両親に無駄な手数料を支払っていたことや、支払い方法を変えるだけで得られたポイントを活用すれば支出を減らせる方法を教えたこともあった。私の働く中で得た知識が家族の役に立ってとても嬉しかったけど、それと同時に知らないということはとても恐ろしいことだと思った。

◎          ◎

そんな偉そうなことを言っている私も、投資を始める前はすごく緊張した。
もともと「お金がない」という環境で育ったから、自分でお金を稼げるようになった時から毎月コツコツとお金を貯めてきた。一定額に達するとそれを定期預金に移し、大切に保有し続けてきた。

情報収集して、少しでも金利の高いネット銀行に今までは預けていたけど、このまま預けていても超低金利時代の今、つく金利はほんのわずかだ。いくらお金が貯まったとしても、使わないのであればそこにないのと同じだ。どうせなら投資を始めてみよう。そう思い立って、証券口座を開設した。

開設後はどの銘柄を買おうか、インターネットや経済紙などたくさんの媒体と時間を使って情報収集をした。「これで私も投資家の仲間入りだ」と思ったのも束の間。やっとこさ購入しても、日によって自分の資産がプラスマイナスに変動している数字を見るのは、一喜一憂して最初の頃はすごく疲れたし、私に向いていないんじゃないかとも思った。

◎          ◎

私が勝手に抱いていた投資家のイメージは四六時中株価を眺めている忙しいものだ。だけどそれは私の勝手な印象で、投資一本で生活をしている人以外のほとんどの人は時々自分の保有している銘柄を確認している程度だという。それに、投資信託は毎月購入する金額を自分で設定しているから株価が高いときでも低いときでも関係なく、一定金額分の購入を続けているのだ。

「もともとは長期で保有するために購入したものだし、今のこの瞬間だけを見て判断してはいけないな。きっとなるようになるか」と自分に言い聞かせると、少しずつ余裕を持てるようになってきた。

実際に、株の購入を始めるといいことがたくさんあった。
まず、株を購入するとその企業に対する愛着が湧いてくる。時々、その企業のサイトを見た時に新規事業など明るいお知らせが掲載されていると「頑張れー!」と応援したくなるし、余裕があればもっと株を買って応援しようかなという気持ちになる。

次に、株主優待がもらえる。私が購入した銘柄は現時点では、年に2回配当金と株主優待をいただけるそうだ。先日、初めて配当金が入り、自分がこれまで定期預金に預けていた金利の何倍もの配当金が入りとても驚いた。また、株主優待でカタログギフトが届いたのだけど、ちょっとしたサプライズみたいで楽しみながら商品を選んだ。

そして、株を購入したおかげで様々な企業が身近に感じられた。いつも身に着けているこのファッションブランドも株を発行していたし、お気に入りのボディスクラブを販売しているショップも株を発行していてびっくりした!ただ知らなかっただけで、私のめちゃくちゃ身近に株はずっと存在していた。

◎          ◎

もちろん、投資だから元本割れなどのリスクもある。でも、元々定期預金として眠らせていたのだから、こっちのほうが稼いだお金たちもきっと喜んでいると思うし、株を購入したことが私の新しい挑戦へと繋がった

投資と毎月の貯金を並行しているから、少しずつだけど着実に資産は増えている。自分の立てた目標額まであと少しのところまできた。まだまだ私には知らないことがたくさんあるけど、小さい頃に「お金が無いこと」「知らないこと」で様々なことを諦めてきた私だから、これからはたとえ失敗したとしても、それを糧にどんどん新しいことを知りながら成長を続けていきたい。そして、その蓄えた資産はきっと私にとっての力強い盾となり、未来を切り開く矛となることを信じている。

最初に掲げた作戦を遂行させるために、今日も楽しくお金の勉強をして、少しずつお金に関する知識を増やしていきたい。