私は現在20代半ば。それなりにデートをしてきました。
これはもう5年前くらいの、まだ私が学生だった頃のとある冒険的デートのお話です。

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相手は3つ上の社会人。サークルの代が被ってない先輩でしたが飲み会の後からよく連絡を取り合う仲に。いつも通りLINEをしてたら今度神戸に1人旅に出ようと思ってるという話をされました。若くてフッカルだった私は「えー!私も行きたいです。」と持ち前の無邪気さを全面に出して提案しました。お相手も特に変な意識もなく「いいよー。」と言ってくれて、なんと旅行デートの決定です。

当日の深夜。私にとって初めての夜行バスです。東京駅八重洲口で待ち合わせてまだ光で明るい夜の中バスに乗り込みました。ここから私の冒険が始まります。
バスの記憶はほとんどありません。多分ゆっくりは眠れてなかったです。明け方のパーキングエリアの朝焼けが青紫で空気が冷たくて気持ちよかったのを覚えています。

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三宮に着いたのは朝の6時。もちろんまだお店もやっていない静かな時間帯。疲れた身体を癒そうと銭湯へ。先輩がグーグルマップで評判のいい銭湯を見つけてくれてそこに行きました。「夜行バス明けは銭湯。これが大人の旅なんだな〜。」と新しい体験をした私は何かを分かった風に銭湯に行った記憶があります。

そのあとは神戸のおしゃれなカフェで朝ごはんを食べ、異人館に行って散策をしました。異人館なんて全然知らなかったけど異国情緒溢れる場所で、大人な散策デートをしました。そして夜は彼が予約していた神戸牛のステーキが出るお店へ。ここではどう考えても学生の私は服装が合わないんじゃないかとどぎまぎしました。靴なんてスニーカーでしたし。

スマートにデートの提案をしてくれる彼は次はここ行こう、次はこうだ、と何度もこのコースをリピートしてるんじゃないかというくらいエスコートしてくれました。

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さてその日のデートも終盤に差し掛かった頃。すっかり気が大きくなった私は、なんと通りすがりで見つけたバーに入ることを提案しました。予定外のバーでしたが先輩も面白がって入ることになりました。

中はカウンターだけでバーテンダーさんがいて静かで暗ーいほんとにテンプレ通りのバーでした。
一番驚いたのはメニューが無いこと。そんなのも知らずにバーに入ったなんて勇気がすごいなと今は思います。

2人で一杯ずつおすすめのカクテルをお願いして(本当はお酒の知識も皆無です。)バーテンダーさんとおしゃべりをしましたり。
素敵なおじさまバーテンさんとお話しする彼はなんだかあまり慣れていない様子で、それが昼間のスマートな彼とのギャップがあったので「なんだかいいな。」と思ってたりしました。

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楽しくお話をして2人で2杯とは思えない高額の支払いにびっくりしながらお店を出てその日のデートは終わりました。きっと彼もああいうバーは初めてだったのではないでしょうか。ここで初めて少し距離が縮まった気がしました。

ここまでで私の冒険的デートの紹介はおしまいです。
当時はあまりにも大人なデートで家に帰ってきてからワンランク上の女性になった気がしていました。当時の相手は今の私よりも年齢は若かったので、今考えるとバーに行った時なんて相手も心臓バクバクだっただろうなと思います。甘酸っぱい思い出です。