横向きに寝ると大きな唇がちょっと重力に負けて、歪んでいる。そんな旦那さんの寝顔を見て、ああ、この人生きてるなぁと思う。絶え間なく化学反応の連鎖を繰り返して呼吸している。よく分からないけど毎日私のいる家に帰ってくる。同じ空間を共有し、生活を共にする。なぜか、そこにいる。

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これが結婚して4ヶ月が経った今の旦那さんに対する体感だ。

恐らく、まだまだ新婚と言われる時期なのだろう。新婚さんと言うとウキウキわくわく毎日楽しいイメージかもしれないが、私たちの場合ちょっと違う。

出会って2年、正式に同棲して半年だが、なんだかずっと一緒にいたような安心感というか、生活の一部感がある。4ヶ月前、婚姻届を出しても変わったことも正直、特にない。
両家顔合わせや家族の行事への参加、薬指に光っている指輪。変わったのはそれくらいだ。
お祝いの言葉を頂いたりするが、嬉しいと同時に逆にびっくりしている自分もいる。そんなに祝われることだっけ?と。
これは旦那さんも同じ意見のようだ。

結婚するということが私たちの中でどこまでも自然すぎるのだ。

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今はこんなことを言っているが、2年前旦那さんに出会う前の私は、結婚に対してもっとウキウキわくわくしたイメージを抱いていた。

恋焦がれて毎日会いたくてたまらない、互いにそんな思いだから結果一緒に住むことになったみたいな。
もっと、熱烈な、刺激的な、恋愛感情に身を任せて、それが成就した喜びみたいなものに打ち震えるようなものだと思っていた。

正直、彼に対して私は恋愛感情を感じたことはもしかしたらほとんどないかもしれない。

どっちかといえば、愛おしさ、しっくり感、同志感、戦友感、安心感、この人以外にはいない唯一無二感、以上だ。

言うまでもなく旦那さんと出会ったことはとてつもない幸運で、彼のおかげで私の人生は然るべきルートに戻った。

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今のしあわせは、旦那さんに出会った時点で約束された、穏やかで揺るぎないしあわせなのだという実感がある。

他人との出会いは素晴らしい。ただそれだけで、結婚自体は、良いものでも悪いものでもないというのが私の結論である。

むしろ、それを良いものにするか悪いものにするかは、今後の自分たち次第だろう。

これからも変わらず、自分の人生を生きる中で望ましい姿に成長し、それに合わせてまた新たな関係性を築いていく必要がある。
それでも彼とならそれができるだろうと思える、相性の良さ、態度、能力を持っている彼と出会えたことは私の人生にとって、読んで字の如く有り難いことだっただろう。

そう、結婚が人生に幸せをもたらすのではなくて、しあわせな人生の中に結婚という出来事が起こっただけなのだ。

正直なところ、婚活市場や上の世代の見方でいうと、既婚>バツイチ>未婚というかつてのヒエラルキーの残りかすみたいなものは私でも感じていて、そういう意識が自分の中に全くないとは言わない。

でも今、自分が結婚してみてはっきりわかる。

結婚と言ってもその関係性はどこまでも人それぞれで、パートナーシップというものがその人の人生の中でどのような役割を果たすかは、本当にその人によるのだと思う。

私にとって結婚が安心感だっただけで、結婚が人生の試練である人もいれば、学び、喜び、苦しみ...様々な感情が、結婚や、はたまた就職や離婚など、色々な皮を着てそれぞれに訪れる。結婚は単にその一つの形であるだけではないだろうか。

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社会的にみると、「結婚」自体はこれからも減り続けるんじゃないかなと個人的には思う。

結婚という契約が「両性」の間で結ばれる、恋愛・性愛の果てにあるものでなければならないという制度は、時代の変化に追い付いてはないだろう。

私はなんとなくしたかったので結婚という形をとったが、別にしなくても良いし、
私たちのように、ドラマチックで素晴らしい性愛とセットのハラハラドキドキエンターテイメントでなくても全然いいのではないだろうか。

もっと言えば、恋愛対象でなくても信頼関係と契約さえあれば、性愛については自由でも良いではないか。

今の制度では、名字は同じにしないといけないし、手続きは面倒。一方で、メリットは急病のときにちゃんと連絡が来て面会が確実にできるとか、簡単に別れられないとか、親に説明しやすいとか、税制上の優遇とか、それくらいだ。
現状では婚姻届を提出する意味がないと考える人がいてもなんら不思議ではない。

もしも社会の中で「結婚」が減っていったとしても、それでしあわせな人が減ったことにはならないでしょう?

結婚としあわせに相関関係はないだろうというのが、新婚ほやほやの私の考えだ。

ただ、人生をゆたかで素晴らしいものにしてくれる人やモノとの出会いは非常に尊いものだと思う。

結婚したから終わりではない。これからの人生、まだまだ沢山の素晴らしい出会いがあると信じている。