恋をしたことがない私は、20歳を過ぎた今もなお彼氏というものがいたことがない。異性と2人きりで出かけたこともない。よって、デートというものをしたことがないので、これから書く話はまったく経験談ではないが、妄想女子なので"好きな人とデートするなら"は幾度となく考えてきた。成長とともに変遷してきた理想のデート像をとりあえず聞いてほしい。

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小学生のとき、私の理想はいちご狩りデートだった。フルーツ狩りではない、あくまでいちご狩り限定だ。いちごはフルーツの中でも赤くこじんまりとしたフォルムでかわいくて甘い。それが食べ放題という幸せな空間を好きな人と共有する、なんて素晴らしいデートだろうと妄想していた。単純に当時の私がただただ いちご狩りに行きたい欲が過ぎただけかもしれないが。

中学生のとき、遊園地デートに憧れた。修学旅行で初めてUSJに行ったのだ。日常とは違う異空間で何組ものカップルを目撃した。おそろいのカチューシャをして、食べ物を分け合いながら歩く二人に、純粋にいいなぁと羨みが溢れた。ちなみに今も恋人とUSJやディズニーリゾートに行くのは憧れだが、経験豊富な友人に聞けば「よほど好き同士じゃないと列に並んでいる時間が地獄」らしい。カップルでディズニーに行くと別れる、というジンクスを聞いたことがあるが、そういう事象が原因なのだろう。

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高校生になり、理想は家デートになった。もちろん一人暮らしの家だ。この時期に私はTL漫画を読み始めたので、若干思考が下心寄りになる。雨の降る日に家でゆっくり過ごしたい。カフェラテを飲みながらジブリを観たい。ラピュタがいい。

そして今、私の理想のデートはみなとみらいデートである。単純に私がみなとみらいが好きすぎるだけなのだが、あそこは素晴らしい。昼は遊園地で遊べるし、近くにショッピングモールも映画も赤レンガ倉庫もある。夜になれば観覧車が綺麗にライトアップされ、ビル群のネオンとともに海に反射する。それをベンチに座って、スタバを飲みながら眺めるのだ。

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自分にとっての理想のデート像は年齢とともに価値観も変わって変遷していくが、一貫しているのは"高級じゃなくていい"ということだ。よくドラマやなんかで見るホテルの最上階のレストランだったりドレスコードのあるお店には行きたくない。行きたくないというのも違う気がするが、自分が自分を保っていられないような場所は理想ではない。ナイフとフォークを使って食べるようなフレンチに行くくらいならサイゼリヤがいい。ちょっとめかしこんで静かにしなければならない美術館に行くくらいならチームラボではしゃぎたい。

まだ経験値が浅いだけかもしれないが、そもそも私は小さなことも全力で楽しむ人が好きだ。ディズニーシーでジャンボリミッキーを全力で踊る大人が好きだ。変にカッコつけたりしないで、楽しいねと笑いあえるところに好きな人と行きたい。

でも本当に好きな人となら、どこに行くかなんて大した問題じゃないのかもしれない。