イヤリングカラー。

ある夏のこと。
毎月通っているエステサロンのお姉さんがしているのをみて、はじめてその言葉を知った。

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いやりんぐからー?
新鮮でその言葉の響きにときめいた。

同じ状態を「インナーカラー」とよぶのだと思うけれど、私はイヤリングカラーという響きが好きで、すぐにまねしたくなった。

なんかお上品でかわいい。

かといって、イヤリングカラーについて専門的な知識はない。

なんならそれまで髪の毛にこだわりはなく、たまにそめたこともあったけれど、結局面倒で、黒髪でいいやと落ち着いていたころだった。

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イヤリングカラーといえば、お店の人にはすぐに通じた。
普通のカラーと同じように、本当にたくさんの色の選択肢がある。

耳をかけたときにみえる下側だけを染める。
ただ染めるだけでなく、それは新しい自分を開く扉だった。

イヤリングカラーは金色からはじまり、オレンジ、ピンク、ブルーといろんな色に変えていった。どの色にしても似合うわたし。天才じゃない?(笑)

なんて思いながら、毎回メンテナンスするのも楽しみだった。

中でもピンクをいれたときは周りにかなり好評で、私もすごく気に入った。

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イヤリングカラーを人にみせたら、人によって反応もさまざまだった。

多くの人は「おしゃれ~」と好印象。
「似合っている!」とか「私もしてみたい!」とか。潜在的な欲求に気づくかんじ。

やっぱりいいよね~って私も嬉しくなった。

一方で、まじめすぎる私の性格とのギャップに驚かれ、「ちゃらい」という固定観念があることもわかった。たしかにインナーって一部のギャルっぽい人だけがやるものだったのかもしれないな。

だけど、私はそれを知って、よりイヤリングカラーが好きになる。

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自分らしさを表現するのがなにせ好きだからね。
一般的な固定観念を壊している感じもすごく心地いいんだと思う。

わたしはたしかにまじめだけど、まじめ一筋ではない。

遊び心ももっているし、その場その場で楽しむ顔がある。

真新しいもの好きだし、挑戦していくのもだいすきだ。

そんな一側面をイヤリングカラーで表現できた気がして、ものすごく嬉しかった。

イヤリングカラーをいれていようと黒髪だろうと私であることは変わらない。性格だってそんな簡単に変わらないし、まじめな私もいつも存在する。だけど、黒髪では表現できないなにかを代弁してくれるのが、私の場合イヤリングカラーだった。

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髪の毛を染めることは単なるおしゃれだけでなく、自分というアイデンティティをアップデートしてくれる存在表現でもあるのだと思う。

今はすっかりまた黒髪に戻っている。

でも、面倒だから黒なのではなくて、自分で選択している感じはある。

「今は黒髪がいいから黒にするの」

そんな風に小さなことでも自分の意思をこめたいのかもしれない。

何色にするのかよりも、自分が好んで選んでいる。

私のアイデンティティはそこにあるのかな。