お酒は法律上、二十歳を超えないと飲むことができない。だから、私にとってお酒は最近まで遠い存在だった。
しかし、小さい頃から家族に「お前は大酒飲みになる。その才能がある」と言われて育ってきたので、お酒が飲めなかった時でも「私、酒豪になるのかなぁ…」の自分の運命(?)を遠目で見ていたりした。
実際、小さい頃の写真でシャンメリー(ノンアルコール炭酸飲料)をクリスマスに一本グイグイ飲みながらピースしている写真があったので、「こりゃまたアルコール飲まない時点でどこか大酒飲み要素があるぞぉ!」と自分でも感心したことがある。
でも、幼い顔をしていながら瓶を一本丸々持ち上げてガブガブ飲む姿を見たとき、はじめは当人の私でさえも引いてしまった。
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さて、無事二十歳になった私は晴れて酒豪(?)になり、二十歳のお祝いにトカイワインを一本飲み干した。甘いワインなのでちょっぴり苦いチーズをおつまみにしつつ、グイグイと飲んでいった。
おまけに仲のいい先生からブランデー(40度)をもらい、ちょっとずつ夜に飲む日々が続いた(度数が高いので水で薄めて飲んではいたが…)。
二十歳を超えた今でも、ヱビスビールやプレミアムモルツ、クラフトビール、日本酒をちょいちょい飲む日々を送っている。
「お酒がないとどうにかなりそう!」という日々とは程遠いが、私とお酒の距離感はかなり近いのではないだろうか。
でも、最近私には心配事がある。
お酒との距離感がどんどん縮まってきたせいで、自分の身体に異変が起こることを恐れている。
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「将来、肝臓がおかしくなるのではないか…肝硬変になったらどうしよう…」
「アルコール中毒になったらどうしよう…」
…といったように、お酒関連での悩みがポツポツ出てきた。
二十歳になったばかりの私は「まだ若いから大丈夫!身体がなんとかしてくれるサ」と呑気なことを考えていた。しかし、お酒との距離感が近づくにつれて「やっぱりこのままじゃ駄目なのでは?」と不安になってきたのである。
私は家族がお酒に強いわけでもない。
家族いわく、私が“酒豪になる”と思った理由は「スルメやカルパスなど、お酒のおつまみが好きな子だったから」であった。
それを聞いたとき、「そんなの、お酒が強いこととなにも関係ないやん!!!」と思わず心のなかで叫んでしまったが、それから私は自分がお酒に強いわけでもないということを思い知った。
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私がお酒に酔わなかったのは、どこか自分がお酒に対して手加減していただけであって、本気でグイグイとお酒を飲んでしまえば忽ちコロッと酔い潰れてしまったかもしれない。
運良くアルコール中毒にならなかっただけで、本当はアルコール中毒スレスレを回避していたのかもしれない。
これまでと同じように、それとなーく何も考えずにお酒を飲んでいては、お酒に対しても申し訳ないし、何より今後自分の身体が悲鳴をあげそうだ。
お酒の距離間が縮まった今ではお酒が少し怖くなってきた。怖い、怖いぞ…
“酒は飲んでも飲まれるな”という言葉ができるほど、人々はお酒に人生を狂わされてきたというのに…
私は果たしてこのままでいいのだろうか。
お酒に依存しないためにも、私はまず、週に一回だけのチューハイで我慢することから始めてみようか。