お酒を飲める体質だけど、あえて飲まないライフスタイルのことをソバーキュリアスと呼ぶ。そして、そのライフスタイルを実践する人のことを、ソバキュリアンと呼ぶ。私は自分のことを、ソバキュリアンだと思っている。

私は、22歳の大学生。20歳になりたての頃は、色々とお酒を飲んでみていた。半年ほどは積極的にお酒を飲んでいたが、だんだんと飲まなくなった。正月にお神酒くらいはいただくけれど、それ以上はあまり飲まない。理由はシンプルにめんどくさいから。めんどくさい上に、健康にも良くないなら、わざわざ飲まなくてもいいやっと思ったのが、ソバキュリアンになったきっかけだ。

お酒を飲んで酔うとすべてのことがめんどくさくなる。お酒を飲まなければ、めんどくさいと思わない行動に対しても、めんどくさいという感情が湧く。家まで帰るのがめんどくさい、メイクを落とすのがめんどくさい、ベッドまでいくのがめんどくさい。普段はストレスに感じないことがストレスになるのだ。

ストレス解消のための飲酒もあるだろう。しかし、私の場合は、そのストレスは解消されても、飲酒によって新たなストレスが、2個3個と湧いてくるのだ。シラフの私だったら、「なんて本末転倒なんや!信じられん!」と、ツッコミを入れるだろう。

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そして、めんどくさいは次の日にまで引きずられる。お酒を飲んだ次の日は、浮腫んだ丸い顔が鏡に映し出されてため息が出る。このまん丸な顔を、可愛いと思えるようにメイクに手間をかける。朝から、あの手この手を使って、昨日の飲酒をなかったことにするのは実にめんどくさい。そして、朝の貴重な時間がこうして消費されていくのが、もったいないと私は思った。

人間関係に対しても、めんどくささを感じていたことにある日気づいた。お酒を飲まなきゃ盛り上がらない相手に時間を使うことが、実はめんどくさいと思っていたんだなと気づいたのだ。色々なコミュニティで集まりがあるけれど、高校時代の友人とZOOMを繋いでいるときに、お酒を飲んでなくても話は盛り上がることを再認識した。そこから、お酒がないと盛り上がらないコミュニティは無理に参加しなくてもいいやと思えるようになった。

お酒を控えるようになったら健康面も楽になった。二日酔いで、次の日の体調を左右されることもないし、スタイルの維持も楽になった。そもそも、お酒を飲むことが多かった時期は、食生活が不健康だった。お酒を飲むときの食事は、お米や野菜が極端に少なかった。お酒に合う塩辛い食べ物が中心になっていた。塩分と脂質が過多な食生活だった。当時は、自分が食べたいと思ってメニューを選んでいたつもりだったが、お酒が私にメニューを選ばせていたのだと今は感じている。

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ソバキュリアンになって1年半。お酒を飲まないことで、何か不便に感じたり、問題を感じたりすることは発生していない。それは、社会に出てない学生という身分だからかもしれないが……。私は、社会に出たとしてもソバキュリアンを貫きたいと思う。そして、ソバーキュリアスというライフスタイルを認めてくれる社会になっていってほしいと思う。

私の価値観に照らし合わせると、お酒という、めんどくさいことにわざわざお金と時間を使っていたと思う。でも、実際にお酒が身近にある生活を送ってみないと、自分の生活にお酒が必要なのか判断できなかっただろう。どちらの生活も試したうえで、私にはお酒は必要ないと判断した。だから、今お酒をよく飲む生活を送っている人に「お酒をやめよう!」というつもりは全くない。「お酒ってなくてもいいのかも……」と迷っている人たちに、このエッセイが、ソバーキュリアスというライフスタイルがあるということが、届いてほしいと思う。