4年前には考えられないような人生になっている。

コロナ禍はもちろんだけど、それを抜きにした個人的なエピソードとしても、4年前と今ではいろいろなことが大きく変わった。紆余曲折ありながらも、トータルでは良い方向に変わっている。

30代になり、会社を辞め、長年付き合っていた彼氏とも別れた。
こうやって書き並べてみるとごくありふれた話だけど、私にとってはどれも大きなものだった。

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30歳になり1ヶ月ほど経った頃、退職届を出して6年ほど勤めた会社を辞めた。今まで「このままじゃダメだと思いながらも、転職できたことがない」ことがコンプレックスだった私にとっては、次の仕事を見つけないまま会社を辞めたことは、とても大きな決断だった。

有給休暇を消化しながら転職活動をし、「人と情報の適切なマッチングをしたい」と考えた私は営業の会社に転職。前の会社よりは待遇は劣ることは覚悟していたものの、想定よりもややハードなブラック企業で、私の営業成績自体はそう悪くはなかったものの、こちらは6ヶ月で退職した。

その後も2つの会社で営業職を行ったが、いずれも仕事のスキル不足や求められる業務のやり方の不一致が生じて、それぞれ6ヶ月、4ヶ月での退職となった。

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プライベート面では、ブラック企業で働いている時期は彼氏ともなかなか会うことができず、デートの頻度も激減した。彼もまた転職をして間もなく、当面は私との将来を考えることができそうにない、ということで、別れようという結論になった。

2年半、私にしては長く付き合った人だった。彼と別れた3ヶ月後に新たに好きになれる人に出会え、5ヶ月ほどの片想いを経て交際はできたものの、こちらは短期間で別れることになってしまった。

4社目の会社を退職後は、アルバイトや業務委託の仕事をしつつ、職業訓練校に通い、(その内容と直接は関係ないものの)2021年夏、小さな出版社に再就職することができた。

子どもの頃から本が好きな私は、出版社に漠然と憧れを抱いてはいたものの、本格的に就職先として検討したことはなかった。たまたま職業訓練校をきっかけに訪れたハローワークで見つけた求人だった。扱っている専門誌の内容や仕事の進め方は、私の大学での専攻内容や、家族の仕事や、最初に就職した会社の業務とも重なる部分があった。もともと、さほど「仕事ができる」タイプではない私は、ミスやコミュニケーション上の失敗もありながらも、2年経った今は少しずつではあるが、できることを広げられていっているのでは……とようやく思えてきたところだ。

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また、プライベートでも、再就職とほぼ同時のタイミングで新たな出会いがあった。友達の紹介で知り合い、私が学生時代から憧れていた某有名出版社から、年内に本を出す予定のある人だった。遠方に住んでいる彼とは頻繁には会えないものの、それなりの頻度で連絡を取り合い、彼の出版も共通の友人たちをたくさん呼んでお祝いした。

2022年秋から交際を開始し、この夏には関西の彼の実家にも挨拶に行った。遠距離恋愛は続いているが、年度内には二人暮らしを開始し、結婚の届を出そうか、という話も出ている。

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4年前の今は何をしていただろうか。ブラック企業に転職して1ヶ月で、当時の彼氏とのデートの頻度も減っていた時期だった。

4年経つ2023年までのあいだには3回も転職してて、当時の彼氏とも別れて別の人との交際を経て今の彼とも出会って順調だ、なんて未来は、当たり前のことではあるが、当時はまったく想像できなかった。というかそもそも、そんな想像をするのは避けていたと思う。だって、今の彼氏じゃない別の人とうまくいく未来を想像してしまうなら、その今の彼氏と付き合い続けるわけにはいかなくなってくるし。

もっと早く今の仕事をできていたらなぁ、とか、今の彼と出会えていたらなぁ、とか、考えなくもないけれど、一見、余計な回り道に思える経験の中にも、私の何らかのスキルや魅力となった要素があるかもしれない。それらを見落とさないように、これから素敵な30代後半を迎えられれば、と思う。