あれから4年。
長寿番組である某子どものおつかい番組なら、面影を残しながらすくすく成長した子どもが、新しい習い事や好きなスポーツに一生懸命取り組んでいる姿が立派に映し出されているはずだ。

あれから4年。
私も成長した。いや、変化したといった方が正しいかもしれない。ちょうど4年前の春に大学を卒業し社会人の仲間入りをした私は、この4年で何もかもが変わった。

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夢だった職場に内定をもらえて、大学を卒業した4年前。10年かけてようやく夢を叶えたものの、精神的な体調不良でたった数ヶ月で退職。生きる意味も理由もないまま、実家で転職先を探す日々。たった1年で、もう想像もしていなかった未来になった。

ちゃんとした四年制大学を卒業したからには、せめて正社員として働かないと、って焦っていた4年前の私。そのおかしな固定概念のせいで、ハラスメントだらけのブラック企業やマウンティングだらけの個人経営店で働くことになるよ。と、声を大にして伝えてあげたいけれどきっと信じてもらえないだろう。

世間体を気にするよりも、まずはプライベートを優先できて心身ともに無理せず働けるような会社を探して、やっと今の職場に落ち着いたところだ。社会人2年目の時点で3社も退職するという経験をし、もはや社会人を名乗っていいのかすら分からないけれど、この先の人生で笑い話にしていくしかない。

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次に人間関係。
大学でできた友達とは長く続かないだろうと思っていたけれど、その通りになった。会いたいと思う友達は何人かいるけど、突然連絡を取る勇気まではないのが正直なところだ。

でも悲しいことに、大学の卒業式の日にわざわざ駆けつけてくれた高校からの友達。数少ない友人枠でも結婚式には必ず呼ぶと決めていたその友達とさえ疎遠になってしまった。きっかけは私が就職を機に引っ越して離れ離れになったことだと思うが、やはり私がメンタルを壊して連絡を取れなくなっている間に彼女は彼女なりの人間関係を作っていたことが大きい。

昨年、偶然お互い近くに暮らしていることが分かり3年ぶりに再会したが、その時彼女は婚約して同棲している相手がいることを嬉しそうに報告してくれた。私も心底嬉しかったが、もう私以上に日々の出来事を報告する相手がいること、二人の間に割り込めないと悟った結果、前のようには会いづらくなってしまった。

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そして家族面。
この4年で最大の社会問題といえば、コロナだろう。それは2020になって転職先が見つかり、再び他県で一人暮らしを始めてまもなくの時だった。こんなにも実家に帰省するのをためらう時が来るなんて、コロナ前は思いもしなかった。

ニュースで全国の感染者数が発表される度に家族の無事を祈ったし、友達と会うのも慎重になった世の中で身内とでしか楽しみが作れなくなってしまった。さらに家族の形も変化した。離れて暮らしていた祖母が亡くなったり、いとこや妹が授かり婚として新婚暮らしを始めたりした。辛いことも寂しい気持ちになることもあるけれど、改めて家族のありがたみを痛感する数年だった。

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最後に、恋愛面。
4年前は就職先で出会った人と結婚して、早めに寿退社したいなぁなんて夢見ていた私。今の私からいえば、早めに目を覚ましてほしいところである。そもそもその後転職を繰り返した経験からすると、仕事先で出会う人の中で価値観が合う、いや合わせられるほど魅力的な人はそうそういないし、言葉を濁さずに言うとろくな人はいなかった。

根っからのインドアなため、出会い目的で趣味を探したり出かけるのは億劫で、でもこのままだと「出会いがない」が口癖のぼやきおばさん街道まっしぐらなのは目に見えている。その結果、私はマッチングアプリに登録した。4年前の私からすれば考えられなかった行動だが、今はもはやアプリ以外での出会いは悲しいことにないに等しい。

色んな人と付き合ったりデートを重ねていくうちに、自分の中の恋愛の価値観も大いに変わった。あんなに結婚に夢見ていた私が、妥協した相手と暮らして自分の大切な時間を犠牲にするくらいだったら、自由気ままに自分だけのためにお金を使って生きていきたいと思うようになった。自我を失うような恋愛はこの先ないと思うと寂しい気もするけれど、去る者追わずな考えもこの先ブレない気がする。

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ここまで書いてみてふと思った。4年でいろいろ変わりすぎ、起こりすぎじゃないだろうか?今、4年前には1ミリも想像していなかった未来で生きていて、もはやこれからの4年が恐ろしくもなってきた。嬉しかったこと楽しかったこともたくさんあったはずなのに、どうしてもネガティブな思い出の方が強く記憶されるのは人間の本能のせいなのだろう。

あれから4年。
4年後の私が今よりも楽しい思い出を抱えていますように。そしてもう一つ。これ以上、猛暑の夏になっていませんように。