大学の夏休み、実家に帰ると家族は私によく「休みなさい」と言う。仕事をしすぎるのをあまり快くは思わないようだ。実際、私もオーバーワークで心を亡くしながら働き続けるのは嫌だ。
でも、日々数字に追われる生活も、ほぼ毎日あるオンライン会議も、後輩の指導も、休みの日にかかるカスタマーからの電話も、全部がではなく、全部含めるから私はこの仕事が好きだ。
メンバーによく、「薬学部なのになんでインターンをしようと思ったのか」と聞かれる。
別に長期インターンがしたかったわけじゃない。ただ、ガチ勢という言葉が大嫌いで、何かに一生懸命になれる人や、そんな人を心から敬える人達が好きだった。
私は変わり者なのかもしれない。
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大学、しかも薬学部となれば何かしらの理由で薬学の道を志す人が集まるものだと思い込んでいた。でも、私の周りにそういう人は少なかった。
「なんで薬学部に入ろうと思ったの?」
「親が薬剤師だから」
それはきっかけに過ぎない。
「理系だから」
それは薬学部に限ったことじゃない。
挙げ句の果てには推薦で入ってきた子達さえ、私の質問に曖昧に微笑むばかり。嘘でもいいからせめて志望理由に書いた内容を言ってくれ。
6年も大学に通って、厳しい試験を何度も乗り越えて、国家試験を受ける。その道のりと彼らのヘラヘラした態度、薄っぺらい考えはあまりにも不釣り合いで気味が悪かった。
きっと全員がそういう人ではないはずだし、中には照れ臭くて適当に答えた人もいるかもしれない。でも、私はもうこれ以上誰かと関わるのが面倒くさかった。大学では実習仲間がいればいい。友達なんていなくていい。
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とはいえ、1人で時間を持て余して、日々を浪費するのも癪だった。私が好きだと思える人と関われる場所。そこで思いついたのがインターンだっただけ。たまたま面接を受けてとんとん拍子に進んだのがここだっただけ。
私が長期インターンをしていることに深い理由はない。
会社の中にも色んな人がいて、本当に舌を巻くほどの努力家や、実力者もいた。反面、なんでここにいるのかと聞きたくなるほど言い訳を考えることばかりに時間を費やしているような人もいた。
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でも圧倒的に大学と違ったのはそこに流れる空気だった。
ここには達成することが当たり前で、そのための努力を美徳とする流れがあった。
だから言い訳ばかりの人はことあるごとに叱責され、淘汰された。それで正しく努力ができるようになった人もいれば、去っていった人もいる。去った人たちはきっと、私達を面倒な奴、ブラック企業だとでも思うのだろう。
でも大丈夫、それと同じくらい私は彼らが理解できない。どこに行っても合う人もいれば合わない人もいる。大事なのは自分に合った環境に身を置くことだと思う。私にとっては偶然、ここがマイナスとプラスを足した時、トータルでプラスになる場所だった。だから、私はここのメンバーが好きだし、ここにいるときの私も好きでいられるこの会社が好きだと思えるんだ。