「推しと結婚したいから貢いでるのか?」と疑われるくらい、私のお金は「推し」に消えている。
私には応援している「推し」がいるオタクである。正直、「推し」を追っかけるのにはお金がかかる。
雑誌にCD・DVD、グッズ・ファンクラブ会費などお金を払わないと見れない有料限定の配信、イベントやライブのチケット代、そのためのホテル宿泊費や交通費……その一つ一つも、結構良いお値段がする。

DVD に文句を言う父。口うるさいのは父だけではなく他人も同じ

私が手に入れた、「推し」のライブDVDの値段を見て父は驚愕した。
今流行りの動画配信サブスクさえも「勿体無い」と全く入っていないくらい倹約家なので、わざわざディスクを買うなんて考えられないのだ。
「せっかく仕事で稼いだお金をこんなものに使ったの?せめてこのDVDを貸しまくれ。お礼にお菓子か何かのお礼をくれそうな人に貸して、元を取りなさい」
とまで提案された。利益目的の許可のないメディア貸し出しは完全に違法であるのでもちろんやらない。
そもそも「推しの活躍を家で何回も観たい!永久保存したい!」という思いでDVDを買ったので、そんなこと考えつかなかった。

そして父だけが親として心配もあるので口うるさいと思っていたが、他人も同じように色々言ってくる。
世間話の中で、熱心に応援している好きなタレントがいると話しただけで、「月に何万使ってるの?」と、すぐお金の話になる。
そして「何のためにそこまでお金を使うの?」「そのお金は結局何になるの?」と言われる。

冒頭でも書いたように、真剣な顔をして、「推しと結婚したいからなの?」「推しと結ばれたいからお金使って覚えてもらおうとしてるの?」と言う人もいた。
普通の人は、好きなものにさえもそんな損得勘定でお金を使うものなのかと正直驚いた。

推しのためにお金を稼いで使って何が悪い?私はそんな自分が好きだ

残念。オタクは「推し」に対し、見返りを求めてお金を使わない。
もちろん、どんな風に楽しませてくれるかなという期待は込めている。だが、期待に応えられないと返金してもらうからね、なんてことも思っていない。今まで期待を裏切られたことはないが。
「推し」に触れられることで幸せを得られるため、損得勘定はない。
多幸感により、オタクは「推し」のことになるとお金の計算が出来ない生き物なのだ。

「推しと結婚できるわけでもないのに何でお金を使えるの!?」
「大切なお金を使っていつか必ず後悔するよ!」
結婚出来ないことはわかっているし、結婚するためにお金を使っているわけではない。
「推し」のためにお金を稼いで、そのお金を使っている自分が私は好きだ。
後悔してもいい。この好きで幸せを感じられる感覚だけは本物である。
おかしいね、狂っているねとも言われるが、生きるためにはそれで良くないか?と思う。

推しに夢中な今の私は確かに幸せ。いつかのために書き記しておこう

はっきり言って、私目線から言うとこの世はクソだ。
少し気を遣えなかっただけで嫌われるし、セクハラパワハラ理不尽は当たり前だし、何か不満を口にすると「自己責任」という社会問題をなかったことにする魔法としても使えて、「悪いのは自分」と思わせてしまう呪いとしても使える地獄の言葉がまかり通っている。
好きなものを話しただけですぐお金の話に変わるのも、何だかなあと思う。

オタク同士でないにしろ、世間話でももっと好きなものの話をすればいいのになんて思うが、こういう考えは子供っぽいと言われる。
そんな中で生きなきゃいけないなんてクソなんだ。
「好きやで〜」という相手にお金という形で投資して幸せを感じる、なんて狂っているぐらいがちょうど生きやすい。

いつかの未来の自分へ。
もし将来お金を使いすぎてしまったと後悔した時、この文章を見返してほしい。
「推し」に夢中な今の私は確かに幸せなのだ。