自分では全然恥ずかしいとは思っていないんだけど、年々泣き虫になっていっている自覚がある。
ちょうど最近も涙があふれてとまらない日が続いた。
本当だったら、恥ずかしくて隠したい出来事かもしれないけれど、そんな日もあったね、って笑えるように記しておこうと思う。
◎ ◎
私には付き合って1年、一緒に住み始めて4か月になる彼氏がいる。
そしてそんな彼と離れ離れになる期間があった。
3週間、彼が仕事の関係で他県に行くことになったのだ。
それまでの私たちは、会わない日が2日を超えることがなかった。
だから、こんなにも会わない日々を体感するのが初めてだった。
案の定、遠距離生活が始まってから、私はことあるごとに涙が止まらなかった。
まだ出るのか、と自分でもびっくりするほど寂しすぎて泣いていた。
職場のラジオから流れる、愛しい人と離れ離れになってしまって寂しい系の音楽に、感情移入して思わず涙をこぼしてしまいそうになることもあった。周りの目もあるから必死に涙腺に力をいれた。
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でもやっぱり一番堪えたのは、家に帰ってから。
大好きな人と暮らす家に一人で帰ることが、こんなにも寂しいなんて知らなかった。
実家を出て、初めての一人暮らしのときより、何倍も泣いた。
我慢する理由なんてなかった。職場と違って、家には私しかいないんだから。
いつも隣で座るソファーに一人で腰掛け、いつも一緒に見るテレビ番組を一人で見て、いつも一緒に食べるご飯を今の私は一人で食べている。
そしてこんなに寂しい生活があと3週間も続く、その事実に何度も涙した。
お風呂場でも、もちろん泣いた。
いつも私より先にお風呂を済ませている彼が、低めに設定した温度のレバーを、私が少し高めに動かす必要もなくなった。
来る日も来る日も、私のちょうどいい温度ですぐに出てくるシャワーに、あふれ出る涙を流してもらった。
変わらない温度のレバーを見つめながら。
でも、人間ってすごいもので、日にちが経つにつれ、涙を流すことも減っていった。
一人の生活に慣れてきたのだ。二週目には、一人時間をいかに有意義に使うかで頭がいっぱいだった。好きなものを食べて、行きたいところに行って。三週目には、もうすぐ終わる一人時間が名残惜しいとまで感じていた。
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そして今、二人での生活が戻ってきた。
夜な夜な涙していた日々も、記憶の彼方に消えていきそうである。
家に帰れば愛しい人がいる、それがどれだけ幸せなことか。
そう思えるのも間違いなく一人で泣いた日々をすごしたからで。
会えない時間が愛を強くするとはよく言ったものだ。
本当にその通りだと思う。
でも、実際に離れ離れになって気づいたこともある。
私はこんなにも彼のことが好きなんだなって。
こんなにも好きになれる人に出会えてよかったなって。
ってどれだけ能天気なんだ、なんて都合よく思い込む自分につっこみながら、今日も私はシャワーのレバーを自分好みの温度に変えるのである。