私はものすごく朝型だ。早起きは大の得意。早朝の、薄暗い空がピンク色に染まっていく様子を見るのが本当に好きだし、仕事に行く前にコーヒーを淹れてそれを飲みながら本を読む時間はこの上ない幸せ。
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理想的な朝だなぁ、と思われた方も多いかもしれない。一般的にはそうなのだと思う。本当はこういう朝を過ごしたいけれど、どうしてもぎりぎりに起きてバタバタと家を出ることになるんです― 何度そう言われたことか。
確かに、朝調子よく過ごせた日は1日良い感じになることが多い。早起きは何文の徳?
だが朝型には朝型なりの悩みがある。そう、夜がとにかく弱い。正直21時頃に寝たい。22時はもう全然寝る時間。23時はだいぶきつい。夜型の人にとっては「さぁこれから」みたいな時間、私はもう電源オフになっている。
世の中どちらかというと夜型の方が多いだろうか。というか、どこからが夜型になるだろう。まぁ普通に仕事をしていたら、21時に就寝、なんてことができないのが現実。
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友達と飲みに行くと家に着くのが22時になったりする。もちろん最高に楽しい時間なのだが、私の体はその時間になると電源が落ちる仕様になっているので、家に着くころにはもう人間としての機能はがた落ち。床に這いつくばっている。
そんな私が頑張って夜に起きている理由。それは寝る前に電話をする、という恋人との日課があるから。「眠いからもうこのシステム止めよう」と言ったことはおろか、思ったこともない。まどろみの中での会話、その日あった面白かったことの報告、落ち込んでいる日の慰め、1日の終わりになくてはならない時間となった。
週の半分くらいは電話の記憶がない。次の日の朝「昨日私何か話してた?」と聞く。1分程度ならほとんど寝ていたのだろうと思うのだが、通話時間5分弱とかになると、「え、5分弱も何を⁉」となる。無意識に会話しているときもあれば、恋人が私の眠そうな様子をただ面白がっているときもある。
少し前まで電話というものが苦手だった。そもそもお喋りな方ではないし、電話を通した自分の声はなんだか変に聞こえるし、もし沈黙の時間ができたら…なんて考えるとそわそわした。できるだけ文面で済ませたいタイプだった。
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寝る前の電話が習慣になった今、電話ができない日は少しさみしい気持ちで眠りにつく。人は変わるもんだなぁとつくづく実感する。普段どちらかと言うと聞く側になる私だが、恋人が相手だと圧倒的に聞いてもらう側になる。人から相談を受けることも多いが、恋人には永遠に相談に乗ってもらっている。
たまに「私ばっかり聞いてもらっていて、あなたは誰に聞いてもらうの?」と、申し訳ない気持ちになって聞くのだが、恋人曰く「僕は特に悩むことがない」らしい。どうしてそんなことができるのか私にはさっぱりわからないが、確かに悩んでいる様子はない。菩薩のような人なのです。思わず手を合わせたくなる。
そんな感じで、私は毎晩、菩薩に電話を通して浄化していただいてから眠りにつく。そのためだったら、多少の夜更かしも全然頑張れるのだ。