『明日は彼とのデートだから、楽しみで寝れない!』
20代前半でもその感覚が全然残ってる私の幼さ、お花畑さに感謝してる。
いつまでも女の子は女の子でいたい。ドキドキしていたい!もう彼以外見えない!って、いいでしょ!
でも年のせいだろうか、ドキドキというかかなり胸が苦しいような、動悸、息切れ、それは言い過ぎか。でもなんだろう、本当に眠れないのが結構照れるし恥ずかしいし、嫌になっちゃう!って彼にそのまま伝えてしまいたい。
そんくらい好きを向けられる彼という存在が久しぶりにできたのが私は嬉しかったんだろう。
◎ ◎
ベッドでなかなか寝付けないから、頭の中でシュミレーターが作動する。
まずは、何着てこう部門。
ああ、あの新しく買ったワンピースにしようかな、いやでも前あのミニスカート履いてきてって言われてたなあ、うーんでもパンツスタイルもギャップ見せれるなあ、あー決まんない、うーん明日決めよ。
そして、どんな髪型部門。
久しぶりに巻いてこうかな、いや前も巻いてたっけ、あえてストレート?うーん決まらなーい、明日にしよ。
私の気分屋の性格がお目見えしてしまった。でもそれでもまだまだ夜は長いわけで、眠れない夜は続くわけで、私は彼のことを考えます。
出会ったときのこと、告白されたときのこと、照れた顔のこと、眠そうな顔のこと、私の名を呼ぶ声、大きくて柔らかい手、華奢な肩、ああ、好きだな。
ただの惚気自慢を1人でやってるみたいに、自分で彼に惚れてる部分をカードみたく並べていく。
あれ私ばっかり好きじゃん……。向こうは、こんなには私のこと好きじゃないのかな……。好きになった方が負けとか言うけど、告白してきたのは向こうだけど、でもなんか言われてみれば、付き合ってからちょっと冷たいかな、あ、釣った魚に餌はやらない、ってやつ??やだー!!餌欲しい!!釣った魚に餌はやらないって、普通に考えて傲慢よ!
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ある一定時間惚気ると私は次にメンヘラになる。思い込みの激しさは悪い癖だ。というか、デートの前の日なんだから早く寝ろよと冷静になる私もここで登場する。
色んな私が登場してきた結果、睡眠不足でデートに行くことになる。朝弱いから一層顔色悪い、もう何してんねん。
でも彼と会ったら睡眠不足もパァッと飛んでく感覚があるんだよなあ。あれなんでしょうか。魔法でしょうか。本当に好きは魔法なんだと痛感しちゃう。やになっちゃう。
そういえばそのデートの日は泊まりだったのでその夜は彼と夜更かししたわけで、とんでもなく幸せだった気がする。一緒にお酒を飲んで、アニメを見て、お風呂に入って、抱き合って、全てが幸福で。
彼に抱きしめられているとき、この夜も彼との関係も終わってほしくないと思ったら涙が出そうなくらいうるうるして、どうしたの?って穏やかに笑って頭を撫でてくれたのを覚えている。ああ、好きだったな。
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私は幸せすぎると終わりをいつも予感してしまう悪い癖がある。まあ大体当たるから嫌になっちゃうんですけどね!!!ってこんなテンションではないけど、この彼ともしばらくして別れてしまったという悲しいオチ付きの夜更かしで。朝が彼を連れて行ってしまいました。
だから最近までは、彼と別れたことを病み続ける夜ふかしを行っておりまして……と言っても付き合ったのが短い期間だったのもあって、今はもうだいぶ復活してるから、人間って前に進む力すごいなあと思う。でも引き摺って病む夜更かしも、嫌いではなかったりする。人間だなって思う瞬間でもあるし。
まあでも幸せな瞬間って本当に続かない、幸せな夜更かしと同じくらい一瞬で終わってしまう。また夜に泣いて、夜に喜んで、これからも私は夜を歩いていくんだろうと思う。