異国の地で初めての夜更かしが教えてくれた、真っ直ぐに生きる大切さ

朝は6時に起床。夜は10時に就寝。
小学生の頃から、規則正しい生活を送ってきた私。
夜更かししたくても、母から「もう遅いから寝ようね」と言われてしまう。
だから、夜更かしをする日が来るなんて、夢にも思わなかった。
上京して短大へ入学。
人見知りの私には、友だちがほとんどできなかった。
色々と慣れないまま、それから数ヵ月も経たないうちに渡米した。
そして、アメリカで過ごし始めて数日後、ついに生まれて初めての夜更かしをするときがきた。
夕食の後、誰から言い出したのか忘れてしまったけれど、部屋に集まってお喋りしようということになった。
「ちょっと眠いし、やめておこうかな......」
どうしようか迷っていると、ある子が「みちるも一緒に話そうよ!」と誘ってくれた。
ここはアメリカ。母はいない。
誰からも早く寝るように言われることはない。
一日くらい大丈夫。せっかくのお誘いを断る理由もない。
私はワクワクしながら、みんなと一緒に他の子の部屋へ移動した。
短大へ入る前のことや恋バナ、怪談話。
みんなでお菓子をつまみながら、ときには笑い、ときにはキャーキャーと騒ぐ。
高校までの12年間では味わえなかった経験。
楽しくてたまらなかった。
眠気なんてとっくに吹っ飛んでいた。
心が満たされたと同時に「地元でもこのくらい楽しかったらな」と、あの頃のことが頭に浮かんだ。
上京する前、私は夜にもっと自分の時間がほしいと思っていた。
「夜遅くまでゲームをしていた」
「朝まで好きな人と電話やメールをしていた」
教室でクラスメイトたちの話を聞くたびに、何だか羨ましい気持ちになった。
私も、みんなみたいに青春をしたかった。
でも、健康的に過ごさなければという使命感から、ずっと行動に移せずにいた。
それに、中学と高校では運動部に入っていたので、夜更かしなんかしたらきっと身体が持たない。
だから、私にはなかなか夜更かしをする機会がなかった。
初めての夜更かしがお開きになったとき、何とも寂しい気持ちになったのを覚えている。
残念がっていると、当時一番仲良くしていたPちゃんがこう言ってくれた。
「また一緒にエンジョイしようね!」
その言葉がとても嬉しかった。
「そうだね!」と、私は笑顔で返した。
部屋に戻って一人になると、さらに寂しさが増してしまった。
あんなに元気に、みんなと別れてきたのに。
睡眠時間は減ってしまったけれど、楽しい時間を過ごせて大満足だった。
みんなとの夜更かしはこのときだけでは終わらず、時々あった。
楽しみすぎて、2回寝坊してしまったのはここだけの話。
人生初の寝坊もアメリカで経験できて、ある意味思い出が増えたなと思う。
短大で選ばれた生徒だけが参加できる語学研修。
その2ヵ月間は、長いようであっという間だった。
勉強は大変だったけれど、知識が身について英語力も上がった。
でも、それだけではなかった。
夜更かしという経験も含めて、今も忘れられない思い出がたくさんできた。
真っ直ぐに生きることは大切。
けれど、ときにはレールから外れてもいい。
「ああしなきゃ」
「こうしなきゃ」
そんな縛られた生活だけでは、得られないものもある。
アメリカで夜更かしをしたことで、それに気づくことができた。
社会人になり、学生の頃よりできることが増えた。
でも、夜更かしはほとんどできなくなってしまった。
いつかまた、あの頃のように誰かと一緒に夜更かしをしながら、楽しいときを過ごせたら嬉しいなと思う。
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