目にした悲しいニュース。次の世界ではどうか幸せでいてほしい

ある日、私は悲しいニュースを目にした。
「高速道路でブタがトラックから落下し、道路を一時封鎖。ブタは負傷し動けなくなっていた模様」という趣旨のニュースだ。
思い出したくないし、言葉にするのもつらい。
狭く汚い小屋で何年も変わり映えしない日々を過ごし、ある日突然ぎゅうぎゅうのトラックに詰め込まれて、何も見えない中でガタガタ動いたり、カーブしたり、急に止まったり加速したり。
そして突然、視界が明るくなって固い地面にたたきつけられた。
これがきっと、あの子の人生だ。

野生の動物が動けないなんて、相当痛かったんだろう。
びっくりしたよね。
怖かったよね。
不安だったよね。
どうしたらいいか分からなかったよね。
逃げたかったでしょ。
緊張したよね。
もしかして、車酔いしてたかな?
気持ち悪かったでしょ。

悲しくてニュースを最後まで見れなかったけれど、きっとあの子はもうここにはいないだろう。
心の底から、ご冥福をお祈りいたします。
理不尽な役目を果たしてくれて、ありがとうございました。
どうか、どうか、次の世界では幸せになれますように。

頭にこびりついたニュースを見て、ヴィーガン生活を始めたけど

私たちはあのブタさんやほかの命をいただきながら生きています。
最近ヴィーガンが有名になってきて、このニュースが頭にこびりついている私はもちろんヴィーガン生活をしてみました。
でも、私はできませんでした。

体調が悪くなって、めまいと吐き気が止まらなくなってしまったんです。
だから、私は生きるためにヴィーガンを諦めました。
自分の命を優先しました。
だけどあのブタさんはそんなことを言っていられません。

ブタさんって本当はすごく綺麗好きで、私たちがペットにしている犬くらいの知性や感情があるんだって。
だから、人間の言葉を理解できるようになるし、感情もわかるし、空気感もなんとなく察するんだって。
そんな野性的なありのままの部分を無視されて生かされているそうです。
狭くて汚くて薄暗い所で、日の光も充分に浴びられず、体も洗えず、感情を交わすこともなく、人間に一方的に動かされこちらのことを見てもくれない。

私たちがあのブタさんやほかの動物だったらどうだろう。
私たちの野性的なありのままの部分って、まずは三大欲求の食欲、睡眠欲、性欲があって、そして性格、得手不得手、好きな食べ物や将来やりたいこと、とか。
私たちが自分で抑えられない思いや特徴はたくさんある。
三大欲求をコントロールするのは至難の業だし、好きな食べ物を強引に変えることもできない。
もし三大欲求や感情を全部無視されて、綺麗好きなのに身動きもとれないほど狭くて暗い場所に詰め込まれ、強引に食べさせられて、強引に運動させられて、ムチでたたかれて、強引に子供や卵を産まされ、我が子をかわいがることもできず、母乳をとられ、そしてある日トラックに乗せられたら。

私は絶対に耐えられない。
そして、あの子たちにも感情があるのはもう有名な話だ。扉が開いて外に出されている時、中にはきっと、不潔な住まいからやっと外に出られると思ってワクワクした子もいただろう。
そして、これから起こることを予期して震えて泣いた子もいただろう。

こんな生き方をさせられている動物たちはたくさんいる。
密室で暑い中で体を張ったパフォーマンスをさせられたり、昼夜逆転して自分の体質に合わない気候の中で見せ物にされたり、手足を縛られて毛や皮を剥がされたり、口から固い棒を突っ込まれて内臓をとられたり、しっぽをとられて神経がおかしくなったまま生かされたり。

ニュースをきっかけに、食事への思いや向き合い方を考え直した

皆さんがもし食べられたり、他の動物に体を蝕まれる運命なら、どういう気持ちで扱ってほしいですか。
皿の上や倉庫の中に残されて捨てられたり、嫌いとかまずいとか言われたり、冷蔵庫の中で忘れ去られたり、押入れの奥に眠らされるなんてことは絶対に望んでいないはずです。
これが弱肉強食の世界だとわかっていても、それでも相手のことをリスペクトする必要はあるはずです。
生きたいように生きられず、他人に時間や人生を管理されるという究極の自己犠牲の上に私たちは生きています。

SDGsとか、エシカルとかいろいろ叫ばれている現在ですが、単純に私たちの三大欲求の一つである食欲を満たしてくれている子たちに感謝しませんか。
私たちの食事への思いや向き合い方を考えてみませんか。
私はあのブタさんがきっかけで、改めて日々に感謝をし、食事を味わい、少しでも有意義に毎日を生きようと心がけ始めました。

ぜひ、皆さんもこのブタさんのニュースを検索してみてください。
あの子の写真も出てきます。
とっても綺麗な色の体で、かわいい顔をしていました。

どうか、あのブタさんが幸せでありますように。