京都に住んで、早半年。
滋賀の大学に通っているため、ずっと滋賀で一人暮らしをしていた。
しかし大学四年生になると、授業が一週間に一回程度になるから大学の近くに住む必要性がない。バイト先が京都だし、歩いているだけで色々発見できる楽しい京都に住むのは憧れていた。だから、京都に住もう!と思った。

一人暮らしをする用のマンションを、滋賀に住んでいたときのような条件で探すとびっくりするくらい高かった。しかも、大学卒業後どこに住むか分からないから一年契約のマンションを借りたいのに、ニ年契約のマンションが多数を占めていた。

友人に相談するとシェアハウスも良いのではと提案してもらい、シェアハウスの内覧をすることにした。プライベート空間がほしいと強く願っていた私は、初めは乗り気ではなかった。しかしいくつかのシェアハウスを内覧し終えると、私の心はもうシェアハウスに住むことに決めていた。

シェアハウスは半年から契約できて、プライベート空間もあって、綺麗!
そして京都で一人暮らしするより少しお安い!
確かにキッチンやお風呂、トイレや洗面台は共有だけど、それ以上に共有して使うのもなんか楽しそうだなって思えたからだ。

◎          ◎

借りたのは秘密の小道を抜けると現れる、女性専用のシェアハウス。
内覧した中でも、雰囲気や立地が抜群によかった。
築年数不明の古い蔵をフルリノベーションしていて、床も壁もピカピカ、水回りも綺麗でお風呂も広い。蔵らしさも残っていて、どこか落ち着く雰囲気。

事前情報で、既に入居してる方は大学生と三十代の社会人の二人だと聞いていた。わくわくもするし、仲良くなれなかったらどうしよう、生活しづらかったらつらいな、と不安もあった。だから合わなかったらすぐに出ていこう!と思っていた。

入居すると、社会人の方は海外に行っていて、もう一人の大学生は毎日バイトをしていた。
忙しそうな二人と過ごすことになるんだな、と思って不安になった。
同じ学校じゃないし、出身地も違う。このシェアハウスに住まなければ一生出会うことなかったかもしれない二人。共通の話題があるわけでもないので、初めの方の会話は基本的な挨拶だけ。 

でも、一週間、二週間と日にちがたつにつれて他愛のないことで笑い合ったり、その日あったことを話したりするようになった。

◎          ◎

バイトで疲れて帰ると、みんなも同じように疲れて帰ってきてぼーっとしてたりご飯を食べていたりした。でもその日あった嬉しかったことや、少しモヤってしたことを話すと、話が次から次へと盛り上がって、お腹を抱えて笑った。
みんなで何かつまみながら、テレビを見たり音楽を聞いたり読書をしたりしてくつろぐ時もあるし、マシンガントークをすることもある。

就職活動で悩みに悩んで辛いときも、シェアハウスのメンバーが助けてくれた。親身に悩みを聞いてくれて、的確なアドバイスと勇気をくれた。親よりも、学校の友だちよりも、毎日会って話をしているメンバーからの声は本当に心強くて、何度も立ち上がって前向きな気持ちにさせてくれた。

シェアハウスのみんなでご飯を作ったり、お酒を飲んだり、美味しいベーカリーショップでパンを買ってみんなでシェアしたり。
京都の祇園祭の日に特別に販売されることで有名な、朝から行列になる豚まんを買いたいけど、バイトで買いに行けないことを嘆いていると、他のシェアハウスのメンバーが「私に任せて~!」って言って買ってきてくれた。
七夕の日には、五年後に開けるタイムカプセルを作ってシェアハウスの庭に埋めた。

◎          ◎

私は、風のように思いつきで提案したり、企画して。
社会人の方は、火のようにその企画に乗って盛り上げてくれて。
もう一人の大学生は土のように土台をしっかりと作ってくれる。

私たちはうまい具合に成り立っていて、支え合って暮らしている。
暮らしに彩りをくれる人たちと住む場所。
ここに住み始めて半年過ぎたここ最近、敬語じゃなくて友達口調で喋っている。
よりグッと仲が深まった感じ。

居心地が良くて、心満たされる場所であり、素直になれる。
ここに来てよかった。