私にとって居心地のいい場所ってどこだろう。

改めて考えてみたとき、意外と即答できない自分に驚く。「居心地がいい」とは、たぶん肩肘張らずにいられたり、ストレスのかかるようなことがあっても”ここ”に来ればホッと一息つけられたりするということだろう。 

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行きつけのカフェは作りたいと思いながら何年経ってもできていないし(そもそもカフェに行く頻度が少なすぎる)、実家は泊まるとき以外『そろそろおいとましないと邪魔かな?』と気にしてしまう。と言いつつ、猫たちに癒やされつつ母とおしゃべりしに隙あらば遊びに行くのだけど(答え出てるのでは?)。

しかし総合的に考えて、もしかしたら「車内」なのかもしれないと思った。

北海道は基本的に車社会。さらに親が運転好きなのもあって、必然的に小さい頃から乗る機会が多かった。日常的な移動も車、道内旅行も片道5〜6時間の距離なら車だった(それ以上の距離のところには基本行かないため、十中八九車だ)。

そんな感じだったので、知らず知らずのうちに車でどこかへ行くのが好きになっていた。そしてそれは、目的地に行くまでのただの手段ではない。行き帰りがすでにイベントであり、最近ではそのために目的地を捻りだしていることもあるくらいだ。

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車内という空間は、なんとなく守られているような感覚になれる。

ぐるりと見渡せる広さが心地いいし、夏や冬は家よりも快適な室温が叶う。家にはエアコンが無いし、あったとしても部屋全体を温めるとなるとコストがすごいことになりそうだ。

そして四方向から外の景色を望める開放感がありながら、窓が閉まってさえいれば秘密の話だってできてしまう。矛盾しているようでしていないような、なんだか不可思議な気持ちになってはこないだろうか。気のせいかな?

自分が運転する用の車を手にしてから、より距離が縮まったような気がしている。なんというか、”もう一つの居場所”という感じがするのだ。

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家にいて気持ちがふさぎ込んでしまったり、煮詰まってしまったりしたとき。私は車に乗り込み、好きな音楽を気持ち大きめにかけてちょっとしたドライブをする。

良いスピーカーは積めていないけれど、コンパクトな空間ゆえにそこそこいい感じで響いてくれる。そして1人なのをいいことに、全力で物真似をしたりなんかして。そうそう、一度若干窓を開けていたことを忘れて軽く赤面したこともあったな(人気のない道だったから気づかれていないはず)。

あとは、車を走らせずに運転席や後部座席に座ってぼんやりすることもある。先日の秋晴れの日なんて、特によかった。そのときは用事があって出かけていたのもあって、心身ともに少し疲れてしまっていた。なのでそのまま家に戻りたくなくて、運転席から後部座席に移り、ドアを開けたまま何もしない時間を作ったのだった。

すぐそこには薄い色の青空が広がっていて、心地いい風が吹いている。葉が優しく揺れる音も聞こえる。家の窓を開けるのとは全然違う、半個室・半剥き出しのような空間。私はそこに、安心感と清々しさを抱いたのかもしれない。

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ちなみに、最近の悩みはもっぱら燃料代。2桁の時代はもう訪れないとしても、もう少し安くなってくれないものかしら……。

走り出さずともリフレッシュ空間にはなるし、それに環境に配慮するならバンバン使わないほうが良い。そうとはわかっていながらも、店頭に置かれた看板を見るたびに『2桁の頃に運転できていたらなあ』と溜息をついてしまうのである。