甘いものが好き。チョコレートにバウムクーヘン、ケーキにアイスクリーム。
人並の甘党だと思っていたけれど、どうやら自分は相当な甘党だということに気が付いた。
友達とパンケーキを食べに行ったとき、私はティラミスパンケーキ、友達はフルーツパンケーキを頼んだ。
私は平気でパンケーキを平らげたけれど、友達は途中で苦しいと呟きながら食べていた。
そのくらい甘党の私は、コーヒーも甘いのが好きだ。
漠然と甘いコーヒーが好きで、豆の種類とか全くわからない。
いつも何となくカフェオレかカフェラテを頼んで、ここは甘いなとか苦いなとか思いながら飲んでいる。
そんな私が、この間たまたま出会ったコーヒーについて。
◎ ◎
上京して、趣味の一つに散歩が加わった。
東京の街は交通網が発達している分、1駅の間隔が短いように感じる。
その分、電車に乗らなくても意外と歩けることに気が付いた。
15分なら余裕、30分も歩ける、1時間も挑戦したことがある。
電車で10分の距離をゆっくり1時間かけて歩いて、街の様子を見るのが楽しい。
散歩をするときは、Googleマップを開いて何となく目的地を決めて、そこまで歩く。
そしてその街を散策して、満足して帰路につく。
こんな感じで散歩して、知らない街をふらふらと歩いてみるのは楽しい。
◎ ◎
先日も、何となく決めた場所まで散歩しにいってみた。
飲み物を持っていなかったから、目的地に着くころには喉が乾いていた。
カフェオレが飲みたいなと思って、Googleマップで「コーヒー屋」で検索。
有名なチェーン店のコーヒー屋さんも好きだけど、せっかくならその土地にしかないお店に行きたいと思って、Googleマップに出てきたとあるコーヒー屋さんに向かうことを決めた。
夕方の時間帯で、人々が行きかう大通りを一瞬曲がるとその店はあった。
街の明かりは明るいのに、その道だけが暗くて、コーヒー屋の看板が光っていた。
店内はあまり広くなくて、私が入った時はギリギリ座れた。
いつも通りカフェオレかカフェラテを頼もうと考えていると、店員さんから話しかけられた。
◎ ◎
どうやら機械が故障したらしく、ラテ系が出せなくなってしまったそうだ。
甘いコーヒーを飲む気でいた私は、咄嗟に何を飲めば良いかわからなくなってしまった。
そこで、いつもは聞かないけれど店員さんにオススメを聞いてみた。
「甘いのが好きなんです、オススメありますか?」
そう言って勧められたのは「ミルクブリュー」という名前のコーヒーだった。
詳しくはわからなかったけど、ベースがミルクで、それにコーヒーの粉を混ぜる?ようなコーヒーらしい。
店員さんのオススメのコーヒーを頼んで、到着を待った。
店内は楽しげに会話している夫婦、勉強している学生、仕事を進める社会人、漫画を読む人、色々な人で溢れていた。
それぞれがそれぞれの時間を過ごしているのに、せわしない感じがなくて時間がゆったり流れていて、安心するような穏やかな時間だった。
◎ ◎
そして、初めて飲んだ「ミルクブリュー」
ミルクの味が強めで、コーヒーの香りがふんわりしていて、甘くて好きな味だった。
途中でシロップを入れて味変してみてください、と店員さんの丁寧な説明も好きだった。
偶然出会ったお店だったけれど、すごく雰囲気の良い店だったのでまた来たいなあと思いながらコーヒーを飲んだ。
知らない街にいくこと、何となく決めたお店に行ってみること、専門家にオススメを聞いてみること、いつも頼まないコーヒーを頼んでみること。
日常生活でちょっと足を伸ばすとできる小さな幸せ、そんなことに気が付かせてくれたコーヒー屋さんに出会えたなあ、なんて優しい秋の思い出。